超巨大放物面

45m電波望遠鏡

春合宿2日目。朝目覚めて外を見ると、


…!?


べるがの雪景色
なんと一面の銀世界。昨日観測に行っていた時とはあまりにも景色が違っていてビックリです。しかもさらさらふわふわの山雪だし。まさか春合宿でこんなに雪が降るとは…。


さて、今日の昼からはいつものように天文部恒例の自炊が始まるわけですが、自分は早速今日のお昼の食事当番になっていたのでみんなで昼食作り。普段自分一人では作らないような大量の料理を一気に調理するのってなんか楽しいですね。大ピンチに急遽臨時コック長を任された前回とは違って指示通りに作ればいいだけだから気も楽だし。


ビビンバ丼
というわけで今日の昼食はビビンバ丼。きゅうり、もやし、人参をごま油やお酢で和えたものと、ひき肉とこんにゃくを炒めて味付けしたものに温泉卵をのっけて完成!美味しくいただきました(^q^)


そして基本的に昼間はやることのない我々天文部。今日は野辺山にある野辺山宇宙電波観測所という謎の施設に見学に行くことになっていたので、宿のバスで小淵沢駅まで送ってもらったあとジャンボタクシー3台に分かれて乗車して野辺山を目指します。


ホワイトアウト
気がついたら雲の中に突入したのかホワイトアウト状態に。それでも臆することなくかなりのスピードで突っ込んでいくあたり、流石地元のタクシードライバーは慣れたもんです。


野辺山への道中にて
途中で谷をまたぐでっかい橋を渡り、山の縁のやたら景色のいいところを規格の良さげな道路で突っ走ります。こんなとこドライブしてたらそりゃ気持ちいいわ。


そして途中で小海線のJR最高地点のすぐ脇を通り、予定よりだいぶ早く1時間もかからずに目的地に到着。


冠雪した木々
さすがに標高1400m近い野辺山はべるがとの標高差が600mほどあることもあって雪の降り方もだいぶ違うようで、雪の高原といった雰囲気満点でした。またスキーしたくなってきますな。


ミリ波干渉計
ミリ波干渉計。この野辺山宇宙電波観測所は文字通り宇宙からの電波をキャッチすることで宇宙で何が起こっているのかを目では見えないようなことまで解析できるようにするなにやらすごい施設。今日は雪が降ったので積もらないようにアンテナは全部下のほうを向いていたんですが、こうして同じ方向にたくさん並んだパラボラアンテナはまるで現代のモアイ像のよう。


45m電波望遠鏡(その1)
そしてここの施設の一番の目玉はなんといってもこの45m電波望遠鏡。直径45mのパラボラアンテナとかスケールでかすぎて何がなんだか。
あまりにも小さな電波でもキャッチできるほどらしく、携帯電話の電波でも十分入ってしまうほどなので電源は切っといてくださいとのこと。しかし携帯電話なんかよりもよっぽど電波を発してそうな電波野郎がいそうな気もするけどまぁそこは突っ込まない方針で…w


45m電波望遠鏡(その2)
近くでみるととにかく迫力満点で、来るべき宇宙戦争の日に備えて作られた超大型電磁砲…みたいな雰囲気さえ漂うレベル。


45m電波望遠鏡(その3)
こんなところまで東京大学…w


45m電波望遠鏡(その4)
こういう構図で撮ってみるのも面白い…?


さらにこの巨大パラボラの後ろにあった施設でいろいろ展示をしていたのでそこも見学。


宇宙における分子模型
星間分子の分子模型。一酸化二炭素はまだしも一酸化三炭素とか、地球上では見たことも聞いたこともないようなトンデモ分子が宇宙空間には数多く存在するそうですよ。すげー。


回転装置
かつて使われていた電波望遠鏡の回転装置の一部。そう言われても全然分からないけどまぁそう書いてあるからそうだったんでしょう。


作業用靴
そしてこちらもかつて使われていたもので、アンテナの上にのぼって作業する時に作業員が履いていた靴。体重を分散することでアンテナが破損しないように作られてます。
さて、そんな感じで施設の中を軽く見学した後でなぜか外で雪合戦が繰り広げられたりしてなかなか面白かった。今年はなにかと雪に縁があるなぁ…。


45m電波望遠鏡と雪だるま
みんなが作った雪だるまと45m電波望遠鏡。その間にある小さなアンテナは、これを勝手にいろいろと動かして宇宙からの電波を感じ取ると音が鳴る展示品。こんな曇りの天気でもやはり太陽のほうを向けるとバッチリ受信できました。



これが電波へリオグラフ。別に二つの向かい合った鏡の間にあるのではなく、同じ小さなアンテナがひたすら等間隔で並んでいるというなかなかシュールな光景でした。


電波へリオグラフ(その2)
小さな電波望遠鏡を並べることで非常に大きな半径の望遠鏡と同じだけの分解能を得られる、みたいな話を夏学期の宇宙科学Iの講義で学んだんですがどうやらこれがその実物。とはいえ電波なんて目には見えないものを観測しているのであまり実感は沸きませんが…。


白樺とアンテナ
白樺とアンテナ。そういえば日本中の人が今スギ花粉に悩まされてますが、北海道に行ったら花粉症の心配もなく…かと思いきや、天文部の北海道出身の部員曰く道民はスギ花粉症の代わりにシラカバ花粉症になるとか。なんとまぁ。。


謎のオブジェ
そしてこれは入り口近くにあった謎のオブジェ。まぁ言ってしまえばここの施設中謎のオブジェだらけなんですが、これはホントに何に役にも立たないただのオブジェのようです。いや日時計ぐらいにはなるのか…?


カラマツと雪
雪をかぶったカラマツの枝。


野辺山派遣隊之碑
野辺山派遣隊之碑、なんてものまでありました。


さて、ここからは再びジャンボタクシーに乗って帰ります。


日本国有鉄道最高地点
日本国有鉄道最高地点の脇にあったレストラン。最高地点だそうです。日本国有鉄道(←ここ重要)の。


小淵沢の駅の隣の売店でちょっとした買い物とかをしたあとべるがに戻り、食当以外の人は既に朝お風呂に入ってたんですが自分たちは入ってなかったのでべるがに併設されている温泉にまったりと浸かって極楽極楽。


豚肉のおろし焼き
今日の夕食は焼いた豚ばら肉とピーマンに大根おろしと鰹節、海苔をのせてポン酢をかけた料理。自分は食当ではなかったんですが、大根を5人がかりでおろしている光景は実にシュールでした。


ところでこの間駿台の担任から頼まれて、今年のSSで前期で失敗して後期を受ける子がいるからアドバイスしてほしいという話があったんですがその電話が今日本人から来たのでいろいろとアドバイスしてみる。トリッキーな試験だけに一筋縄ではいかないけど、敢えて短くまとめるとポイントは『とにかく書く』こと。論文や英語はもちろんのこと、数学も適当で感覚的な解き方でいいからひたすら書きまくれば意外と点数もらえるからとにかく書け、とアドバイスしておきました。


さて、今日はこんな天気だったおかげで早い時間帯にはあまり綺麗な星空は拝めそうになかったので観測は午前2時頃から…となったわけですが、予想に反してすぐに晴れ渡って澄んだ星空が顔を出してきました。


プラネタリウムカフェ
そんなわけで、お洒落な大人のひとときを愛する(?)自分とquolc氏(仮称)、おしるこ氏(仮称)の3人で銀マットで軽く遮光したりといった細工を加えた上でベランダでプラネタリウムカフェを設営。電池式のスピーカーにiPodをつなげてゆったりしたピアノジャズとかを流しつつ、ポットを持ち出してあったかいコーヒーでも飲みつつ満天の星空の下でまったりと談笑するという今までの天文部には無かった新たなスタイルでの星空を満喫。途中で女子4人が遊びにきて一気にリア充臭が漂い始めたり、他のサークル(特に実は東大に密かにもう一つあるとされる謎の天文サークルとか)の話題が出てきたりと途中で雰囲気は二転三転してたんですが、観測所でシュラフにくるまって寝転がってたりひたすらシャッターを切ってたりするのとはひと味もふた味も違う楽しみ方でした。


さて、そして午前2時頃からは観測地に出発。ぶっちゃけ星ならベランダからでも十分見えた気がするけどまぁせっかくだし、ね。冬合宿では見られなかった初夏以降の星座も見たかったし。


春の大三角『この中に一人、よそ者がおる』
春の大三角と動点P・土星
アークトゥルス『点Aです』
デネボラ『点Bです』
スピカ『点Cです』
土星『点Pです』
皆『お前やー!!』


…というわけで春の大三角と、矢印の先にあるのが土星。標識と星空を絡めて撮るというのはなかなか斬新なのではないでしょうか…?w


北斗七星と北極星
おなじみ北斗七星と北極星


かみのけ座銀河団
春の大三角の近くにあるかみのけ座銀河団をちょっとズームで。とはいっても『星がたくさんあるなぁ』ぐらいの感じではありますが。


春のダイヤモンドと土星(ソフトフィルタあり)
春のダイヤモンドと土星。ソフトフィルタをつけて撮ると明るい星が大きく写るので星座とか星の並びが分かりやすいのです。


春のダイヤモンドと土星(ソフトフィルタなし)
そして同じように今度はフィルタを外して撮るとこんな感じ。もちろんこっちのほうが細かい星までたくさん写ります。ちなみに中央やや右寄りにある星がたくさんある場所がさっきズームで撮ったかみのけ座銀河団


北斗七星と北極星(高感度)
ISOを6400まで上げて北斗七星と北極星を撮ってみる。どのみちPhotoshopで補正かけてあるしこのサイズに縮小してしまうと若干分かりにくいんですが、実際には肉眼ではとても見えない星々まで写ってすごいです。


山際のさそり座
明け方近くになって、山際にはさそり座が上がってきました。南の空に上がる星座なので全体が見える時期がかなり限られていて地味に貴重。


夏の大三角と天の川
そしてようやく今回の春合宿でもっとも見たかった夏の大三角と天の川も顔を出しました。まだ低い空なので光害のせいで分かりにくいですが、一番上が織姫ことベガ、そこから斜め下45°ぐらいのところにあるのがはくちょう座のデネブ、そしてその2つの星を結んだ辺を底辺として右下のほうを見ていった先にあるのが彦星ことアルタイル。そして言うまでもなく織姫と彦星を結んだ間にあるもやもやっとしたものが天の川。肉眼で天の川を見たのはいつ以来だろう…。なんか感動しますね。


夜明け前
東の空を見るともっとはっきりと天の川。太陽系のある『天の川銀河』は典型的な渦巻銀河で、その中心部の星が密集して明るいところを見ているからこのように天の川として見えるんだとか。


薄明
そんなわけで今日はこれでおしまい。夜明けが近づいてきたので宿に戻り、空が明るくなってきた頃に就寝。いやー2日目にしてもう見るものは全部見ちゃってお腹いっぱいです。