最後の体育祭

体育祭の余韻

待ちに待った体育祭、灘校生活最後の大イベントが、花火のように輝いて散っていった。


朝は早く起きて、芦屋の駅弁屋で昼食を調達して7:30に学校へ。今までだったらこういうイベントで早起きした時はなはつきを撮って行くという流れが確かにあったんですが、時は流れ、高3となった自分が引退するよりも一足早く、朝日を浴びて疾走するあの列車は廃止されてしまいました。
学校に着いてからは場所を点々としつつ応援団の最終練習。ダンスはもうほぼ完璧の出来です。正直ゴリエのMickeyがここまでいい具合のダンスになるとは予想してませんでした。
8:40に点呼を済ませ、そして開会式へ。
中1は毎年6年間のうち1回きりしか縁のない『生徒歌』なるものを鼓笛隊のリコーダーで演奏しながら入場するという伝統があるんですが、高3にもなると入場待ちの間にその音さえ聞こえてきません。鼓笛隊の先頭に立って指揮棒を振った5年前の出来事ももはやそれほど遠い昔の話です。
開会式。相も変わらず理事長の演説は謎でした。今年はお酒の飲み方談義じゃなかっただけマシか。それにしても前体育委員長の選手宣誓はマイク無しにも関わらずよく響いてました。


今年ももちろん垂れ幕は健在。
中学垂れ幕(その1)
中学垂れ幕(その2)
まずは中学垂れ幕。ポニョかわいいよポニョ。


高校垂れ幕(その1)
そして高校垂れ幕。今年は全体的にクオリティが高い。なぜか出てきたチェ・ゲバラはベタ塗りながらもコントラストの使い方が巧妙。2組はウサイン・ボルトとサンダーボルトをかけてみる。リアルな勢いの雷をバックにしたボルトの姿は実にカッコいい。

高校垂れ幕(その1)
なんか明らかにひとつだけどこかの美術館からパクってきたような作品があるのは決して気のせいではない。やっぱりブッキー氏(仮称)の美術センスは他の何者の追随も許さない勢いです。多分これだけで十分飯を食って行けるレベル。
隣の3組のスカイ・クロラもなかなか素敵。高3がまともに働いてくれないから高2が必死になって作ったらしいですが、それを考えるとかなりの出来ではないでしょうか。


そしてついに競技開始。
今回は今までと若干競技に変更点があったりしたわけですが、高2がやりたいといって導入されたビーチフラッグ。並び方でかなり有利不利が分かれたのと、マットが小さ過ぎて怪我人が出そうだったのが気になったものの、他の競技とは少し違った雰囲気があってなかなか面白い。
さらに、中1の新競技『パン食い競走』。今まで無かったのがむしろ不思議なんですが、一般的には運動会の定番。
中3になると毎年教師と生徒が2セットマッチの綱引き対決をする『師弟対決』なるものがあるんですが、これはぶっちゃけ完全な出来レース。今回は珍しく1回戦で生徒が勝ったと思ったら、2回戦では大人げない教師たちが残り一部の参加してない教師を連れてきました。まぁそれだけならよくある話ですが、なんとマメヲ師(仮称)がグラウンド隅で鑑賞していた高校4年生〜高校11年生までの鉄研OBを数人連れてきたのには盛大に吹いた。
昼休み以降は毎年の伝統で、体操服にペイントを施す高3の姿が。思い思いの言葉を入れたり顔文字にしてみたり、背番号風にしてみたりなぜか『しぇからしか』と書いてる人もいたり。うちの組には『Sexy♥』というのを入れた人もいたけど、誰がどう見てもyが小さ過ぎて読めません。まったく若気の至りですな。ちなみに自分も思い立って『STARDUST CHOIR』の文字を入れようとしたんですが、時間がなくなってしまって結局ペイントできなかったのが少し残念。


そして、最後の体育祭。自分が体育祭の競技に出るのももちろん高校最後。


『ワンゲラー〜重量リレー〜』。
自分は22kgの荷物を持って校庭を疾風の如く、むしろダンプカーの如く駆け抜けた。みんな速かったけど、うちの組はそれ以上にとにかく速かった。
途中うちの組が抜かされたと思ってヒヤリとしたら実は相手は周回遅れだったのには本気でビックリしました。
結果、見事1位。最後のO氏がゴールした時に、校庭の反対側にいたメンバーも歓声やVサインとともに走り寄ってきてその場で胴上げ。なんかサヨナラ勝ちで優勝を決めたチームのような、そんなノリで。


応援合戦。
2〜3週間の間、あれだけいろいろと考えてあれだけ練習して、記録よりも見てくれた人の記憶に残るように、とどこかの新庄みたいなことをモットーに掲げた応援合戦。
しかしいざ始まると太鼓のテンポが極端に遅くて、やってる側は絶望感に近い何かすら感じながら必死でアドリブで埋め合わせたものの、音響のミスかトラブルでダンスがやたら早く始まって最初の部分が消滅。挙げ句の果てにいきなりリピートして、結局制限時間5分のところをなんと1分以上オーバー。
出来は何点だったかと聞かれると、多分ダンスの中盤以降がまともに踊れたという点だけ評価して25点、と言わざるを得ないけど、時間オーバーの減点を入れると前代未聞の-12点というとんでもない得点を叩きだし、皮肉にも観客の記憶にも、そして記録にも残った応援となったことは間違いない。しかし、何から何まで中途半端に終わるよりはここまでとんでもないことになってしまって逆に吹っ切れた感すら漂っていた。案外、これはこれで良かったのかもしれない。


騎馬戦。
1回戦、自分たちの騎馬は高1・2方面に突っ込んで行く役割にあてられたので突撃したものの、相手が集団一列戦法をとっていたためにあえなく撃沈。おまけに側頭部に思いっきり頭突きを食らって野原しんのすけ顔負けのタンコブが出現。しんちゃん並みにすぐ治ったら苦労はないんだけど…。
こうなると負けられない2回戦。某元生徒会長(笑)みたいに思いっきり殴ったりするような反則もせず、あくまでフェアプレー精神でとにかく気合いの戦闘。自分は正面から勢いでひたすら突っ込んで、上が相手を押し倒す。砂埃を立ててグラウンド中でこんな光景が繰り広げられている数分間はさながら合戦場。そしてなんとか気合いで乗り切り最後まで生き残って、ついに相手の騎馬は全滅!!
しかしここで予想外の自体が発生。勝ったはずの騎馬戦で、なぜか体育教師(笑)のブルダックス(仮称)がその場の独断で新ルールを作って反則でチーム全体を失格に。高1のとある騎馬が相手の倒れた騎馬に蹴りかかったかららしいけど、普通ならその反則した1騎を失格にするだけなのでみんな納得いくはずもない。確かにこの反則はさすがに酷いとは思うものの、こんな超法規的で独裁的な暴挙にはクラス全員、特に本気のフェアプレーだった高3は怒り心頭で、あとでT君を先頭に大挙して抗議しに行ったところ、このDQN体育教師はこともあろうに逆切れして来賓の目の前で罵声を浴びせながら生徒に殴り掛かってくる始末。もうこれは正直教師失格としか言いようが無い。担任団6年目なのでもう今更驚くことでもないですが、相も変わらずどうしようもないDQN教師っぷりを保護者の目の前で存分に発揮してくれました。これに関しては一番同情してくれた我らが担任のかまちゃん師(仮称)が説得して閉会式の時に状況説明だけはさせるようにしてくれたのが唯一の救い。本当に感謝。


そして、最後の高3の綱引き。これが灘校生としての6年間の集大成となる、いよいよ泣いても笑っても最後の競技。
いろいろあったものの、点数的には結局ここにチームの勝敗が懸かることに。まるで最近の巨人阪神戦。
まず最初の相手は灘校のラテン民族、底抜けクオリティの文系オールスターズ。この学校の文系は基本的にやたら元気なのが揃ってるうえに運動神経抜群な人の姿もかなり多く見られて、我々2組に与えられた数人の差というアドバンテージなどもはやハンデですらない。
昨日はかなり長く引っ張り合った末に勝負は持ち越しということで一旦捨てたんですが、今日はキムタツ師(仮称)に教えてもらった秘策を実行してなんとか気合いで辛勝。


ついに最後は優勝をかけての4組との対決。
こちらも秘策を持っているかと思えば、あちらも灘校生らしく分析的に綱引きの力学を研究しまくって完璧な戦法を用意してきて、あとは実力と体力勝負。
『カマタ!カマタ!』コールとともに必死で引くものの相手もさすがの強敵、両者一歩も動かずかなりの時間が経過。
しかし3組を瞬殺した4組とは残り体力の差も激しく、結局持久戦に持ち込まれた末に最後の最後で2組はとうとう力つきてしまい、惜敗。
でも、これはちゃんとフェアプレーに基づいた結末。
最後に綱引きがあったおかげで、ちゃんとやり尽くした充実感を味わうことができた。
それにしても、綱引きがこれほど奥が深く体力を使う競技だったとは…。今日の全競技の中で一番疲れた競技は間違いなくこの綱引きでした。




そんなわけで、手放しに全てが最高だったとは言えないようないろんな出来事もあったけど、やれるだけのことはやったし、結果はどうあれ灘校生活最後のイベントに相応しい、思い出にあふれる素晴らしい体育祭でした。


閉会式のあと、応援団長のセイウチ氏(仮称)を胴上げし、さらには愛すべき我らが担任のかまちゃん師(仮称)も宙に舞った。



打ち上げは住吉からちょっと御影よりにある牛角へ。大手チェーン店とあって名前は知っていたものの実際に行くのは初めて。2600円の90分間食べ放題コースだったんですが、サービスが行き届いていて次から次へと肉が運ばれてくるし、なんといっても肉の質がなかなか良いようで味も美味しいし変な胸焼けもなかったので、同じテーブルに座ったS師、台氏(仮称)、つじぽん氏(仮称)とともにひたすら美味しく食べまくりました。今までの打ち上げで来た焼肉店の中では間違いなく一番でした。
その後は2次会にでも行くノリかと思ったら、結局全ての力を出し切って全員相当疲れきっている様子で、自然解散的に家に帰ることに。応援団長のセイウチ氏(仮称)、ダンス担当のK氏、他応援団に携わってくれたみんな、本当にお疲れさまでした。




優勝した4組、おめでとう!
さすがにあの勢いには敵わなかった。これだけの結果が出たのも、みんなが一致団結して1つの大きなパワーになったからだと思う。


1、3組のみんな、お疲れさま。
持てる力の全てを出して正々堂々と競争するのがこれほど素晴らしいだなんて。


そして2組のみんな、ありがとう!!
結果にはいろいろあるかもしれないけど、結果よりもそれまでにあった過程が大切。今までみんなで一丸となって取り組んだ応援の練習。これから先、みんなが一致団結してこんなことに取り組むことはもうないのかもしれない。




夢のように忙しく、夢中になった1ヶ月が終わった。


全てが終わった後、組なんて関係なく学年全員でグラウンドに大きな円陣を組んで叫んだ。






『61回生は、最高ー!!』






秋風に乗せて空が運んできた一滴の雫は、なぜだか少ししょっぱい味がした。