遠回りな帰省

キハ40系と川霧@会津川口

今日からはいよいよ帰省ですよ帰省。関西に帰るのは5月のGW以来なので実に3ヶ月ぶり。


…とはいっても普通に帰るだけじゃ面白くないよね!!ってのが旅好きの鉄研の発想でして、そこで今回は一日適当に乗り回して新潟に行ってから急行きたぐにに乗って帰ろう!!というプランに決定。


そんなわけで、朝は5時に起きて朝食をとり、荷物をまとめて7時前に家を出る。
布田から調布に一駅戻って調布から各停にゆったり座って行こう…と思ったら意外にも降りる人がほとんどおらず座れなかったので(´・ω・`)ショボーンと思いながら仕方なくまだそれほどひどくは混んでない通勤快速に乗ることに。
…まぁ通勤快速とはいっても正しくは『通勤鈍速』で、まだ朝7時だというのに相変わらず途中詰まりまくり。しかしこんな具合で呆れるほど低クオリティな関東私鉄ともしばしお別れだと思うとせいせいするぜ(・∀・)待ってろよ阪急!!


そしてやっと新宿に着いて、18きっぷで駅に入って中央線の通勤特快→山手線と乗り継いで上野に到着。
今回はルート的に途中で駅弁を買える駅が高崎しかなく、高崎のだるま弁当はこの間食べたばかりなので今日は上野駅の駅弁屋でなぜか長野の牛めし弁当を買ってから高崎線のホームへ。


湘南新宿ラインの特快があるおかげで朝夕に少しだけしか走ってない快速アーバンを待っていたら、もちろんE231系が来るものと思っていたらまさかの211系。しかし残念ながら高崎に乗り入れる211系は10両の基本編成ばかりでロングシートオンリーなのです。。まぁ211系の爆走が楽しめたからそれはそれで良かったんだけど。


そしてそこから2時間弱、高崎に着いたら今度は上越線の水上行きに乗り換え。

115系湘南色群馬DC編成@高崎
予想通り115系湘南色だったんですが、なんか高崎デスティネーションキャンペーンのHMとラッピングが施された編成でした。しかしHMのキャラ、ぐんまちゃんという馬のキャラらしいんだけど発想があまりにも安直…w


高崎を出ると新前橋で両毛線と別れ、そこからは関東平野の北の端からだんだん山のほうへと登っていきます。


SLみなかみ号@渋川
渋川でなんか停まってると思ったらD51牽引のSLみなかみ号でした。しかし普通列車にも抜かされる快速って何…?w


そしていよいよ山の中に入ってくると雨予報だったはずの空も所々晴れ間が出てきていよいよ夏っぽい雰囲気に。
部活の遠征で東京から来たと思われる高校生(?)も乗ってたんですがローカル線の風景に大興奮してました。


115系新潟色@水上
そして水上駅に到着。ここからは上越線の山越えに挑む115系の長岡行きに乗り換え。


水上を出るとすぐに本格的な山岳地帯に入り、湯檜曽駅の手前で上下線が分かれたと思うと…


湯檜曽駅下りホーム
その湯檜曽駅の下りホームは完全にトンネルの中。


そしてその次はかの有名な日本一のモグラ駅こと土合駅。駅の近くになると急にトンネルの中が霧っぽくなっていて不思議な雰囲気に。


土合駅下りホーム
下り線のホームが新清水トンネルの中にあるということで上下線のホームの高低差がなんと81mもあり、改札に出るまでに実に486段もの階段を10分ほどかけて上らなければいけないというバリアフリーの対極のような素敵な駅。ただ最近は通過線が撤去されてそこに新ホームが出来てしまって妙に明るくなってしまって雰囲気が半減しちゃったのが残念なんですが。。
ちなみに写真の階段の左側は将来のエスカレーター設置のために空けられたスペースらしいんですが…どう考えてもエスカレーターなんて付くわけがないような…ww


そして国境の長いトンネルを抜けると雪国だった…というのはもちろん夏のこの時期には当てはまらないわけで、ただ夜の底ではなく窓が曇って白くなりました。


列車はそのまま下っていき、雪のないスキー場、冬の時期には賑わうけど夏場は静まり返っている越後中里といった駅を過ぎて、越後湯沢を過ぎてさらにどんどん下って小出に到着。ここで只見線に乗り換えです。



キハ48系東北色@小出
只見線に乗るのはよくよく考えたら高1の冬以来3年半ぶり。しかし車両を含めて何一つ変わった気配はありませんでした。懐かしい…。


小出駅只見線案内
ご覧の通り只見線を通しで走る列車は1日にわずか3本しかないんですが…いったいこんな路線に車内販売を期待する人がどこにいるんだろうか…?w


さて、時間がきたので只見線の2両編成の気動車はゆっくりとエンジン音をかき鳴らしながら動き出します。
1両目のキハ40のほうは冷房車、2両目のキハ48のほうは非冷房車ということで当然2両目に乗るんですが、同じことを考えてる人が多かったのか2両目は専ら乗り鉄だらけといった感じ。まぁこの組み合わせは両方の需要に答えられるという実に素晴らしい編成ですね!w
ちなみに只見線を走る気動車には何両かオールロングという爆弾がいて、今日も時々目撃したんですがなぜか自分が乗る時にはたいてい両方ともボックスシートの車両が入ってる気がします。


牛めし弁当
さて本日のお昼。なぜか長野駅弁の『牛めし弁当』1050円也。
お肉が思ったより固かったのがやや残念ではありましたが、甘辛く煮た牛肉と玉ねぎ、信州らしいリンゴのコンポート、そして濃厚な漬け玉子はなかなかの組み合わせ。美味しくいただきました(^q^)


さて、この只見線なんですがまさにキング・オブ・ローカル線といった存在で、国鉄末期に廃止されるはずだったのに代替の道路が冬に通行止めになってまともに使えないという理由で現在まで残っている路線。冬は日本有数の豪雪地帯、秋には紅葉が美しくとにかく四季を通じて風光明媚で、個人的には今では本州の中では一番ローカル線の旅情があると思っているのがこの只見線なのです。
で、今回ビックリしたのはなんと『観光車掌』のはっぴを着た魚沼市観光協会の人たちが乗り込んできて、ただの普通列車なのに途中で魚沼市の観光パンフレットや記念乗車証を配り始めて、さらには各所で観光ガイドのアナウンスを始めたところ。こんなローカル線でここまでやるか…!!すげぇ。


只見線の車窓(その1)
青々とした水田、奥にそびえる山々、そしてガタンゴトンと音を立ててのんびり走る列車。そんな鳥の詩が聞こえてきそうな風景の中を窓全開にして4時間の旅とはこれほど贅沢な旅は他に無いかもしれません。


只見線の車窓(その2)
そしてだんだんと渓谷地帯へ。秋には紅葉が美しいんでしょうなぁ…。


只見線の車窓(その3)
全長6km以上にもわたる長い長い田子倉トンネルを抜けると、そこには冬季営業休止となる田子倉駅、そして目の前には田子倉ダム人工湖の風景が広がります。


只見線の車窓(その4)
実に良い風景。


只見にて
そしてその後すぐにまた只見トンネルという長いトンネルがあり、それを抜けたら只見町の中心になる只見駅に到着。面積の9割が森林という小さな町なので駅の周辺であってものんびりした空気が漂っています。


会津蒲生にて
只見駅から会津川口までは只見線の中でも最も列車本数の少ない区間。その数わずか1日3本。
そしてこの区間にある駅はホームが1両分しか無いので2両目はホームからはみ出して停まります。思いっきり踏切の上に停まったりもするわけなんですがこんな駅が江ノ電腰越駅以外にもあったとは。。


只見川の川霧
しばらく走っていると横に只見川が見えてきて、そこに添うようにして走ります。今日は比較的気温が低かったからなのか、只見川名物のひとつであるという川霧が出ていて幻想的な風景でした。


会津川口駅の交換風景
そして会津川口駅に到着。ここでこれまた一日3本しかない小出行きと交換するんですが、この時だけ一時的に駅が賑やかになります。
ローカル線の本数も少ない駅なんですが駅にはちゃんと駅員もいて売店もあって、なんか地域のコミュニティハウスのような役割を果たしている感じがしました。他の地域とは違って並行道路に負けたというよりは単に人が少ないだけというローカル線。でもこの鉄道が無いと特に冬場は足が無くなるというだけあって地域への密着度は高いのか、そのわずかな沿線住民にはかなり愛されているような気がしました。


キハ40系と川霧@会津川口
この駅のすぐ横が只見川になっているので、川霧と絡めて1枚。
さてこの駅の売店でアイスでも買って、ここから後半戦に突入です。


換気作業車
この後しばらくは『ただの山の中』といった感じの車窓が続くのでやや単調になってくるんですが、その途中の駅でこんな謎の作業車を発見。これはもしかしたらトンネル内の空気を換気したりするのに使うんでしょうか…?


只見線の車窓(その5)
そしてその山の中をひたすら走ってそれを抜けるといよいよ会津盆地へと下っていきます。今まで木や草だらけだった車窓に一気に一面の水田が広がって開放感満点。


只見線の車窓(その6)
だんだん太陽も傾いてきて、水田を撫でる涼しい夕風が吹き抜けてゆきます。この感じ最高。


削られた山
なぜか向こうのほうに不思議な形で削られた山を発見。山を削ってる光景自体はさほど珍しいものではないんですがこんな感じで削ってるのは初めて見た…。。


そして列車は福島県内では阿賀川と呼ばれる阿賀野川を渡り、西若松会津鉄道と合流すればいよいよ終点・会津若松に到着。今までは会津若松→小出の向きでしか乗ったことが無かったんですが、今回初めて反対向きに乗ってみるとまた各所の受ける印象が違った感じがしました。


719系あかべぇ編成@会津若松
反対側のホームには3年前のような455系ではなく、新たに入ってきた719系あかべぇ編成となって停まっていました。この喜多方行きに乗ったら喜多方で本場の喜多方ラーメンとかも食べに行けたんですが敢えて今回はパス。


というわけで会津若松で1時間少々時間があったので、駅の土産物屋で久しぶりにあかべぇのストラップを買ったりしつつ、いつものように『立ちあおい』という駅の立ち食い蕎麦で軽食でもとろうかと思ったものの新潟での時間配分を考えて、今回は駅の中に『一會庵』という会津の郷土料理や蕎麦が食べられるお店があったのでそこに思わず入ってみることに。


饅頭の天ぷら
これも郷土料理のひとつである『饅頭の天ぷら』。気になったのでひとつ食べてみたんですがなるほどこういう食べ方もあったのか!という感じでした。


ざるそば&こづゆ
そしてざるそばとこづゆのセット。
蕎麦は実の内側の部分を使っているからなのかかなり色白のお蕎麦だったんですが、さすがに蕎麦どころの会津というだけあって手打ち蕎麦は歯ごたえも香りもよく美味でした。
ちなみに右奥の汁物が『こづゆ』という郷土料理。いろいろな山の幸を貝柱のだしで薄味に炊いたもので、お祝い事などの時に食べられる伝統的な料理なんだとか。この素材の味を生かした極上の味は関西人の自分には非常にポイント高かったです。やっぱり和食の醍醐味は山の幸だと思うのです。


キハ110系@会津若松
さて、夕食も済んだことだしこれから磐越西線で新潟へと向かいます。この磐越西線も風光明媚な良い路線なんだけど残念ながらもうさすがに外はだんだん暗くなってきたので今回は単なる移動。
キハ110系の3両編成は、喜多方までは結構多くの乗客を乗せてかなりのスピードで飛ばしまくり、そこで大量の客を降ろしてから数駅後を出た時には既に車内はガラガラで自分を含めても乗客は数人。どうでもいいけど五泉や新津へ行く列車はもうこれが終電だったりするあたりはさすがローカル線といった感じですね。
まぁ車内では特にやることもなかったので、音楽を聴いたりうとうとしたりもしつつまったりして、そのまま乗客は目立って増えることもなく終点・新津に到着。


新津からは新新潟色115系に20分ほど揺られて新潟まで行き、前日にきたぐにのB寝台に乗っていた干ししいたけ氏(仮称)から駅前の『みどり湯』という銭湯の情報を聞いていたのでそこに行ってみようととりあえず北口の改札を出たところで調べてみたらまさかの駅南側。慌てて反対側まで行ったもののそこで結構タイムロスがあったおかげで入線までもともと1時間ほどの時間があったはずなのに徒歩10分弱のところにある銭湯に行って戻ってくることを考えたらかなりギリギリ。銭湯自体はわりと雰囲気も良いしリンスインシャンプーやボディソープ類も置いてあったのでかなり良かったんですがあんまりゆったりと浸かってる暇もなく、カラスの行水のような感じで慌てて行って帰ってきました。でもまぁすっきりしました。急いで戻ってきただけでも新しいTシャツが汗だくになったのは言うまでもないけど。。


さて、でも兎にも角にもなんとかきたぐにの時刻間に合ったので2号車自由席の乗車位置で入線待ち。
しばらくすると、向こう側から3灯のライトが近づいてきます。


急行きたぐに入線風景@新潟
実は昔も一度見たことがあるこの入線風景。


急行きたぐに車内(その1)
さて、車内に乗り込んでちゃんとボックスを確保。自由席車両はあの食パンこと419系でもおなじみのちょっと広めのボックスシート


急行きたぐに車内(その2)
こんなボックスシートの夜行列車に乗るなんて体験も今となってはそうそう出来るもんじゃないですな。


キハE120系@新潟
ホームの向かい側には新型気動車キハE120系が停まってました。


急行きたぐに車内(その3)
そしてこっちが日本で唯一となった三段寝台。座ることすらままならないほどの高さのまさに『寝るためだけの』スペース。
14系や24系の寝台車とは違って線路と平行に寝るかたちになっていて、通路を挟んで両側に寝台があるんですが…しかしこのどぎつい色のピンクのカーテンが通路の両側にずらりと並んでるというのはあんまり趣味が良いとは言えないような…。。。



さて、発車まではまだあと30分近くあるのでとりあえず荷物を置いて外に出て食料を調達することに。


とりあえず改札を出て駅前のローソンに行って軽食と飲み物を買って、さらには普段はあんまり買わないのに珍しくじゃがりこなんてのを購入。
干ししいたけ氏(仮称)からの事前情報で、発車10分前からの5分間だけは対向ホームから編成写真がまともに撮れるとのことだったのでその時間に間に合うようにホームに降りて撮影してみました。


583系急行きたぐに@新潟
さすがに三段寝台をが入るだけの大きさということで限界ギリギリまで車体を大きくしてあるのでなかなかの厳つさを漂わせています。


急行きたぐに大阪行き方向幕
よく考えたら急行なんてもの自体が今のJRにおいては既に絶滅危惧種なんですよね…。。



さて、いよいよ発車が近づいてきたので車内へ。意外にも乗客は多くて、ワンボックスで平均2人ぐらいは座っている程度の乗車率。
しかしどうやらこの列車は帰宅列車の役割も果たしているようで、特に金曜日ということもあって仕事帰りか飲み会帰りと思われるサラリーマンなんかも結構乗車していて、見附や長岡といった駅でもたくさんの人が降りていきました。
そしてさらに長岡あたりから深夜に乗ってくる人も多く、柏崎あたりまで乗るという人も。自転車旅行の途中で輪行していく人たちやこれから山登りをすると思われる人たち、いろんな人たちを乗せて夜汽車は進んでいきます。


急行きたぐに車内(その4)
寝台車やグリーン車は減光されて暗くなっても自由席車両は一晩中煌煌と電気が灯っていて、しかも座席がリクライニングもしない向かい合わせのボックス席であることを考えれば設備的にはムーンライト以下なわけで、そういう意味ではこの列車に急行券18きっぷで乗れないからという理由でわざわざ乗車券まで買って乗る価値があるのかと言われるとほとんど無いのだろうけれども、今ではほとんど無くなってしまった昔ながらの夜行の急行列車というこの空気を味わえるだけでもその価値は十分にあるのかもしれません。



車番・乗車距離

布田〜調布:京王線・各停/高尾山口、8582
調布〜新宿:京王線・通勤快速/新宿、7274
新宿〜神田:中央線・通勤特快/東京、モハE233-44
神田〜上野:山手線・内回り、モハE230-570
上野〜高崎:東北本線高崎線快速アーバン/高崎、クモハ211-3007
高崎〜水上:上越線・普通/水上、クハ115-1114
水上〜小出:上越線・普通/長岡、モハ114-114
小出〜会津若松只見線・普通/会津若松、キハ48-551
会津若松〜新津:磐越西線・普通/新津、キハ110-203
新津〜新潟:信越本線・普通/吉田、モハ114-1058
新潟〜大阪:信越本線北陸本線東海道本線・急行きたぐに/大阪、モハネ582-89


●乗車距離(1日・きたぐに除く):522.4km