モザイク都市・東京

隅田川の風景

今日は『東京のインフラストラクチャーを歩く』なる全学体験ゼミの第1回というわけで、昼から京王線と地下鉄を乗り継いで八丁堀へ。
このゼミでは東京のインフラストラクチャーの授業に関連して、それでは実際に実地を歩いてみようというのがメインなんですが、今回は『モザイク都市・東京』と題して、様々な時代の街並みが重層的に存在している東京の中でも特にそのモザイク性が際立っているところというわけで大川端リバーシティから佃地区にかけてを探索してきました。


今日の担当は社会基盤学科助教の志摩氏。都市工学科の出身だとのことで、最初は日本の街並みが今のようになってしまった制度的な背景について、容積率の話やら斜線規制やらいろいろとゆるーく解説してくれました。
そんな感じで歩いているとまず現れたのが、隅田川に架かる真新しい現代的なデザインの橋。


中央大橋
中央大橋というのはここが東京都中央区だからでしょうか。…しかしここの一体何が東京の中央なのかが未だに理解できないのは自分だけではないはず。。


東京スカイツリー建設中
そしてこの橋からは遠くに建設中の東京スカイツリーが見えました。


隅田川の風景
さらにそこに狙い済ましたかのように遊覧船が登場。


銅像とスカイツリー
ちなみにこの橋の真ん中には銅像が立っていて、なんか川のほうを見つめている感じの雰囲気だったのでスカイツリーと絡めて撮ってみました。


そしてこの橋を渡った先にあるのが大川端リバーシティ。名前からでも既にだいたい想像がつきますが近年再開発がなされて現代的な高層マンションが立ち並ぶ場所になっています。


スーパー堤防
かつては水質汚染による悪臭公害などが深刻でなるべく遠ざけられていた川も最近ではずいぶんキレイになり、この再開発で設けられたのはこの隅田川の水辺を生かした親水空間。いわゆるウォーターフロントってやつですか。
元々はこういう川辺には切り立った大きな堤防があったんですが、今では1/30という非常に緩やかな勾配の堤防になり誰でも水の近くまで行けるようになっているそうで、この堤防のことをスーパー堤防と呼ぶんだとか。なんか残念なネーミングだなぁ…。。


公開空地
ところで容積率などの問題をクリアして高層建築を建てる時のキーワードになってくるものに『公開空地制度』というものがあって、敷地の中に誰でも自由に入れる公園のようなフリースペースを作ることによって建物の高さ制限などに若干のボーナスが加えられたりするそうで、ここにももちろんそのスペースが用意されてました。
しかし実際にはなかなか悪質…といっては言い過ぎですが結構セコいことをしているところが多いそうで、建物に囲まれた奥のほうに公開空地の大半を持ってきて、いかにもプライベートな敷地のような空間にすることで外部の人が入って来にくい雰囲気にしてあることも多々あるんだとか。確かにここも中に入ってくるとだんだんそんな雰囲気に…。


高層ビルと空
そしてそんな高層マンションに囲まれた空間から真上を向いて撮った写真がこれ。なんか現代アートみたいな感じになっちゃったのは気のせいか。。


その後もとても小学校とは思えないような雰囲気の場所に小学校があったりと再開発クオリティを満喫した後は、今度は一転してノスタルジックな場所へ。
次に向かった佃地区というのはこのあたりで唯一江戸時代に埋め立てられた場所で、関東大震災も戦災の被害も免れたおかげで昔ながらの街並みがそのまま残っている区域。


確かにさっきの再開発区域と比べると明らかに異質な空間で、道幅も狭いし建物も全体的に年季が入っていてなんとも歴史を感じさせます。


佃地区にて(その1)
和風のデザインの橋に、『日の出湯』と書かれた煙突のあるかなり古そうなマンション、そしてその後ろには昔ながらの建物があったかと思うと奥のほうにそびえ立つ新しい高層マンション。この風景を一言で表すとするならばまさにカオス。統一感なんてこれっぽっちもない風景だけど、逆にヨーロッパの整然とした街並みの中で育ってきた外国人がこんな風景を見るとむしろCoolだという感想をつけてきたりすることも…。


ところでこの地域の建て替えが進まない理由のひとつに制度上の問題があって、
建物を建てる際には一定以上の広さの道に面していないといけないという規則のおかげで人一人がやっと通れるぐらいの細い路地に面した家なんかは建て替えた瞬間にその規則に違反してしまうために建て替えたくてもできない事情があるそうで…。


佃地区にて(その2)
そりゃまぁこんな細い路地を2〜3mまで広げろと言われてもそりゃ無理な相談でして。。国ももうちょっと建て替えを推進できるような制度を整備する必要があるような気がします。
でも防災上は確かに好ましくないかもしれないけど、こういう風景も失われてしまうには惜しいほどの魅力があるよなぁ、と改めて思いました。


住吉神社
そしてなんとここにあるのが住吉神社。大阪の人にはすっかりおなじみのあの住吉さんですよ。


ちなみにこの佃地区は名前からも分かるように『佃煮』の発祥の地なんだとか。今回は買わなかったけどいつか元祖の佃煮を食べてみたいもんですな。


そんなわけでゆるーいゼミも予定よりかなり早く一回目終了。
細い路地裏を数十人の学生ががぞろぞろ歩いていく光景はまさに不審そのものでしたが、なかなか普段は知らないようなことをいろいろ教えてもらいつつ街歩きができて楽しかったです。