ロングシートと路線バスの旅in関西

阪急バス80系統山口営業所前行き

この間父親に岡山で買ってきてもらった2dayチケット、もっと早くに使う予定だったのがなかなかそんな気分になれなかったということもあってずっとそのまま放置状態だったんですが、今日は弟が友達を連れて大回り乗車(←もちろん自分の入れ知恵なのは言うまでもないw)に行くから早く起きるということだったのでちょうど良い機会だと思って自分も今日1日目を使うことに。


というわけで8時頃に家を出て、まずは阪急バスに乗ってJR芦屋の駅まで。しかし今日はJRは使わないのである。
そのままそこで待っていても良かったんですが、少しでも待ち時間が少ないほうがいいかなぁと思って一旦JR芦屋南口のバス停まで歩いて移動。
関東と比べると関西は私鉄同士の直通こそ少ないものの『スルッとKANSAI』の存在によって会社ごとの連携はかなりしっかりしていて、なかでも特徴的なのはフリー切符類の充実ぶり。今回使う2dayチケットは関西のほとんどの私鉄を1日あたり1900円で好きなだけ乗り回せるうえにかなり多くのバス路線にも乗れてしまうという凄まじい威力を持ったチケット。
なんか普段から高速バスを目の敵のように言ってる気がする自分ですが実は郊外や田舎を走る路線バスというのは何気に結構好きだったりして、今回は前々から一度乗ってみようと思いつつも用事もなければ運賃が高いおかげでなかなか乗れなかった芦有道路経由のバスに乗ってみることにしたわけです。


そんなわけで南口のバス停で15分ほど待ち、数分ほど遅れて80系統の山口営業所前行きのバスが到着。なぜか方向幕に系統番号が入ってないようで。
阪急バス607号車山口営業所前行き@JR芦屋南口
バスなんて普段ほとんど撮ったことがなかったので上手い撮り方がよく分からないわけでして、写真のクオリティに関してはご愛嬌。
さて、ガラガラのバスは数人の客を乗せてまずはさっき降りたJR芦屋のバス停まで行って、そこからは阪急芦屋川を経由していよいよ急坂を登り始めます。
途中工事中の片側車線規制の信号で引っ掛かって1分ほど停まったりしつつも、ヘアピンカーブが連続する坂道をエンジンを唸らせながら駆け上がり、気がつけばすっかり山の中。そうこうしているうちに芦屋ゲートに到着、ここから先は有料道路である芦有ドライブウェイに入ります。
乗り物酔いの激しい人にはまず無理だと言われるこのルートですが、意外にも有料区間に入ると線形は若干良くなり比較的走りやすい道に。
しかしこの芦有道路。多分自分は記憶に残ってる限りでは初めて通るんですが、通行量は相当少ないけど通行料は相当高くて普通車片道800円。しかも土日祝はなぜか二輪車通行禁止で、今でこそ夏場は24時間通れるけど冬場になると深夜から早朝までは通れず、それが登山用のスカイラインとかならまだしもその間に住宅街があったりするというとにかく変な道路。
少し進むと『芦屋ハイランド』なる謎の場所に繋がる道の入り口があって、そこからしばらく進むと『東おたふく山登山口』のバス停。雰囲気から察するにここから六甲山へのハイキングに行けるような感じで、数少ない乗客のうちリュックサックを背負ったお爺さん2人が降りるといよいよ乗客は自分1人になって完全に貸切状態。こんなバスが山越えの有料道路を1時間に1本(芦屋ハイランド折り返しも合わせれば30分に1本…!)走ってるわけだからどう考えても大赤字路線w
さらにしばらく進むと奥池。奥池なんてつい最近までどこにあるのかも知らず、気象板の某氏のおかげでようやく身近な存在になった近くて遠い場所。有料道路を通らないと外にも出られないというだけでも住宅地としては相当とんでもない場所だというのは安易に想像がつきますが、阪神間とはいえここはもう標高が500mを超えてきて芦屋ゲートより上は結構よく雪の降る地域。そのたびごとに芦有道路は通行止めになるので下手すりゃ出かけたっきり家に帰れなくなるというそれはそれは大変な場所なのです。そりゃとても住環境だけ見れば実に閑静で素晴らしい住宅地なんでしょうが、ぶっちゃけこんなとこによう住んでるわというのが正直な感想だったりしなくもない。ちなみにいつしか登りかけたゴロゴロ岳(標高565.6m)の山頂のすぐ隣は奥池の住宅地だった…はず。


阪急バス車内にて(その1)
空気輸送そのものだけど乗ってる分には実に快適そのもの。


さて、奥池からさらに螺旋状に続く道。トンネルを抜けると展望台だった。
ここは関西の中でも特に夜景の美しい場所の一つらしいんですが、残念ながら今日は黄砂なのか霞んでるのかであまり遠くは見えませんでした。
ちなみにこの展望台は標高645m。そこから少し進んだところにある宝殿ゲートは芦有道路唯一の中間出入口で、ここのトイレはこの期に及んで料金を取るらしい。山奥やなぁ。。
せっかくゲート近くのバス停まで寄ったものの当然乗降客なんておらず、再び本線に戻りいよいよ山越えのトンネルに突入。


阪急バス車内にて(その2)
運賃表の額はどんどん上がってるけど自分はフリー切符利用者。なんかいろいろと申し訳ないです。。
しかしこの道全体を通しても対向車すらほとんどいなかったような気が…。普通車250円と安くて便利な西宮北有料道路に客が逃げたからというのもあるだろうけどそれにしてもこの閑散っぷりは酷いなぁ。


そしてトンネルを抜けると裏六甲だった。当たり前。
周辺の山々を見下ろせるほどの高い場所を走っていて、少し走るともう有馬のあたりが眼下に見えてきました。
芦有道路の風景


ここまで来たらあとはもうすぐ。有馬ゲートを通って少し行くともう有馬温泉到着。というわけで有馬駅前のバス停で下車。
ここからは鉄道編。まずは神鉄有馬温泉駅から有馬口までたった一駅区間だけの電車に乗る。
神鉄3011F@有馬口
跨線橋や地下道なんてものは無く、反対側のホームへは構内踏切を渡って行くシステムなので接続していた新開地行きの列車もこんな角度から撮れます。


有馬口駅発車案内
一応神鉄は地方の中小私鉄の部類に入るんですが、そんな地方私鉄には釣り合わないほどの立派なフルカラーLED式発車案内が…。


神鉄5013F@有馬口
ここからこの5000系の三田行きに乗車。内装は阪急電車っぽいけどシートがアンゴラ山羊じゃないところが少し違う。
神鉄ってのは正直山越え区間以外は結構乗っててしんどいところもあるんですが、とにかく新興住宅地的なところや田園地帯の中を走り、三田の少し手前の横山で乗り換え。


神鉄1501F@横山
せっかくなので未乗の公園都市線乗りつぶしておきたいところなのでこの1500系に乗り換える。しかしこの古臭い車両、乗ってから銘板を見てみたらなんとまさかの平成3年生まれ。ぶっちゃけありえなーい。


そんな古臭い車両とはこれまた不釣り合いな、いかにもここ20年ほどの間に出来たような香り漂うニュータウンの中を走っていきます。なお南ウッディタウン南森町なので注意されたい。いや間違える人なんていないけどw
そして終点・ウッディタウン中央に着いたもののやはりこの手のニュータウン路線に共通することなんですがやはり何も無いだだっ広い場所でした。


ウッディタウン中央駅
駅舎がやたら近代的なのもたいていこの手の駅の特徴。


こんなところにいても特に何もすることがないので乗ってきた電車で10分ほどで折り返し、そのまま三田まで。
三田の駅前はやはりかなり栄えてました。しかし少し外れたら完全に田舎なのが三田クオリティ。
JRが使えないのでここから神鉄で1時間だらだらと乗って行くことになるんですが、今度は3000系。
神戸電鉄はさっきも書いたように中小私鉄に入るんですが、しかし通勤路線でありながら日本有数の山岳路線ということで車両はほとんど全電動車でやたら金かかってます。
その山岳っぷりは箱根登山鉄道にこそ負けるとはいえ相当なもので、普通の鉄道にはそうそう存在しない50‰の勾配が全区間の実に2割以上を占めているというあたりがいかにとんでもない場所を走っているかを如実に表してます。
車内は最初は空いていたのが途中からは混み始めて立ち客まで出て、それらの大半を谷上で吐き出したら再びまったりとしたムードで鈴蘭台粟生線と合流。そこからは六甲山を貫いて源平合戦でもお馴染みの鵯越を通り、坂道を転がり落ちればベースキャンプたる終点・新開地に到着。趣味的にはクロスシートが無いのが実に惜しい路線です。
で、新開地から阪神三宮までは山電の3両編成の普通に乗る。やはり結構な混雑。
そして三宮からは奈良行き快急近鉄車の運用だったけど残念ながらL/Cカーでは無かったのでまたしてもロングシート
別に阪神なんば線を目当てに乗ったわけでもないけどやはり難波に出るには確かに便利な路線なのでこれで大阪難波まで乗車し、そこから10分弱ほど歩いて南海の難波駅へ。


南海難波駅にて
最近改装されたこの大階段がなんかいい感じ。


さて、そろそろお昼もいい時間になってきたのでここで昼食をとることに。というわけで3階コンコースにあった南海そばに入ってみる。


割り箸タワー
環境保護なんてクソ食らえと言わんばかりに豪快に生けられた假屋崎省吾もビックリな割り箸の生け花、もといタワーはもはや一種のモダンアートの域。というか一体これは何がやりたいんだ…w


スペシャルうどん
ちなみに食べたのは『スペシャルうどん』400円。海老天、ネギ、生卵、昆布、きざみ揚げ、かまぼこが入ってこのお値段はかなりお得感が。味のほうも関西にしては比較的しっかりした味のダシでなかなか美味でした。


さて、腹ごしらえも済んだところで再び私鉄の旅に。


南海難波駅パタパタ発車案内
自分はリアルタイムで見ていた世代ではないのでアレなんですが、親の世代になるとこの縦にズラリと並んだパタパタを見ると某音楽番組を思い出すという人もきっといるのではないでしょうか…w


泉北高速7509Fと南海難波駅
この南海難波駅なんですがさっきの階段といいこの櫛形ホームといい、阪急梅田駅に次ぐ関西第二の大ターミナルと言ってもよさそうな駅です。
ここからはこの写真の左側に写ってる泉北高速鉄道7000系に乗って和泉中央を目指します。泉北高額鉄道と揶揄されるほど高い運賃で有名ですが、新しめの車両だけで見れば泉北高速の車両のほうが南海の車両より明らかに良い車が入ってる気がするのがなんとも。
そんなわけで、準急の名に相応しいチンタラ走行で中百舌鳥まで、そこからは泉北高速に入る。この路線も乗りつぶし以外ではまず来る機会が無いであろうと思われる路線なので今回乗ることに。途中架線に付着物があってこれから取り除くというアナウンスがあって停止したからどれだけ遅れるのかと思ったらたった30秒ほどで発車。しかし今日の夕方には架線障害物の影響で結局一時は光明池で折り返しになったんだとか。
栂・美木多とかいう謎な名前の駅も過ぎて気がつけば終点和泉中央に到着。しかしここもウッディタウン中央ほど田舎でこそ無いものの、他と同様なんとなく閑散としたイメージがあるのは車社会を前提とした広々とした都市計画になってるからなんでしょうか…?


泉北高速3513F@和泉中央
この駅も即折り返しなんですが、来た車両でそのまま折り返すことになるのかと思いきや先発は反対側ホームのこの3000系。結果的に2つの車種に乗れたのはラッキー。


御堂筋線なかもず駅前にて
中百舌鳥に着いた後は今度は降りて御堂筋線に乗り換え。
『百舌鳥』と書いて『もず』と読む。『香具師(やし)』と同様漢字のほうがひらがなより文字数が多い珍しいケース。


久しぶりに乗った御堂筋線ですがなかもず周辺は初乗車。車両は残念ながら個人的には一番ハズレな中途半端に更新された10系でしたが、これで天王寺まで行ったのでめでたく御堂筋線は完乗。


で、そのまま近鉄大阪阿部野橋駅まで歩いて南大阪線に初乗車。


近鉄16000系特急吉野行き@大阪阿部野橋
16000系の特急がいたのでなんとなく撮ってみる。しかしもちろん乗るのは特急ではなく急行。
その吉野行きの4連の急行は、数分遅れにはなったものの線形が悪いなりに途中からなかなかの飛ばしっぷりを見せてくれたのがなかなか良かった。
そして橿原神宮前で乗り換え。


橿原神宮前にて
ここからは京都まで1時間ほど近鉄特急に乗るのもアリだよなぁ…と思ってたんですが、ホームに行ってみると京都行き急行が発車直前だったので考える間も無く反射的に飛び乗ってしまったんですがこれはちと失敗。かなり線形も良く急行を名乗ってるはずなのに終始続くやる気の全く感じられない走りに辟易し、いくら空いてれば快適とはいってもさすがに一日中乗ってるとロングシートにはもううんざり。これなら870円払って特急に乗るべきだったかも。。


近鉄京都駅にて
結局iPodで音楽でも聞いてごまかしつつ結局終点京都まで乗り、敢えてわざわざ地下鉄駅まで歩いて乗り換えて四条まで2駅、烏丸から河原町まで行ってから阪急京都線の特急で折り返してそのまままっすぐ家に帰る。
そんなわけでバスを除けば帰りの阪急京都線の9300系特急が本日初のクロスシートだったんですが、正直それほど好きじゃなかった9300系でも今日ばかりはネ申車両に思えたのは言うまでもありません。なんだかんだでやっぱり阪急はクオリティ高いわ…。


そんなわけで今日は私鉄を中心に1日乗り回してきたんですが、ちなみにこのルートで正規の運賃で乗車するといくらになるのかという話。なんと計算してみたら6460円。バスに乗ると一気にお得感倍増ですが2日間で3800円のフリー切符なのでなんと1日で元がとれました。いやーしかし今日はよく乗ったのでさすがにかなり疲れました。


…あ、ちなみに本日のベスト路線は間違いなく芦屋〜有馬を芦有道路経由で抜ける阪急バス芦屋有馬線の80系統でした。なんともまぁ…w

車番・乗車距離

〜JR芦屋:阪急バス芦屋市内線15系統・芦屋浜営業所前行き、419
JR芦屋南口〜有馬駅前:阪急バス芦屋有馬線80系統・山口営業所前行き、607
有馬温泉有馬口神鉄有馬線・普通/有馬口、5016
有馬口〜横山:神鉄三田線・普通/三田、5013
横山〜ウッディタウン中央神鉄公園都市線・普通/ウッディタウン中央、1501
ウッディタウン中央〜三田:神鉄公園都市線三田線・普通/三田、1502
三田〜新開地:神鉄三田線有馬線神戸高速南北線・普通/新開地、3118
新開地〜三宮:神戸高速東西線阪神本線・普通/阪神三宮、3602
三宮〜大阪難波阪神本線阪神なんば線快速急行/奈良、1097
難波〜和泉中央南海本線高野線/泉北高速・準急/和泉中央、7005
和泉中央〜中百舌鳥:泉北高速・準急/難波、3022
なかもず〜天王寺大阪市営地下鉄御堂筋線千里中央行き、1118
大阪阿部野橋橿原神宮前近鉄南大阪線・急行/吉野、6069
橿原神宮前〜京都:近鉄橿原線京都線・急行/京都、1234
京都〜四条:京都市営地下鉄烏丸線・普通/国際会館、3521
烏丸〜河原町阪急京都線・準急/河原町、5307
河原町〜十三:阪急京都線・特急/梅田、9409
十三〜夙川:阪急神戸線・特急/新開地、8100
夙川〜苦楽園口:阪急甲陽線・普通/甲陽園、6121


●乗車距離(1日・バス除く):309.8km