在来線特急乗り継ぎの旅

189系と雪山@越後湯沢

朝は4:45に起床。朝にはめっぽう弱いはずなのに驚くほどすっきりと目が覚めたのはやはりその気があるか無いかの違いでしょうか。
id:sachikazerick氏には見送りはいいと告げて、5:10にりっく宅を出発。大きな荷物を背負っていても稲田堤の駅までは歩くこと約5分少々。


西国分寺までの切符を買って夜明け前の人気の無い稲田堤駅南武線を待っていると、そこに颯爽と入線してきたのはかなりレアな南武線の209系0番台。少し前までは山ほど走っていた京浜東北線の209系が引退して、さらには南武線の2編成のうちの片方も廃車になったために残存する209系0番台は唯一この編成のみ。
とりあえずそれに乗って府中本町まで出て、ここでは十数分の乗り継ぎ…と思ったら予想に反して1本早い武蔵野線の電車に発車間際に乗り込むことに成功。


武蔵野線205系にて
人気が無くがらんとした夜明け前の列車。この独特の雰囲気がなんか好き。
ここからしばらく武蔵野線を走る。武蔵野線の西側の区間は初めて乗ったんですがトンネルがなかなか多い。さすが元は貨物線だったというだけのことはあります。
武蔵浦和埼京線に乗り換え。りんかい線の車両に初めて乗ったんですが、見た目によらずシートが硬かった…。。


で、大宮からはいよいよ特急乗り継ぎの旅。


快速シーハイル上越発車案内
…とはいっても見ての通り臨時快速で車両が特急形なだけなんですが、存在自体もついこの間まで知らなかった『シーハイル上越』。まぁ大宮がこの時間だったらそうそう乗る機会も無さそうな列車で…。


189系快速シーハイル上越@大宮
車両は国鉄色189系。ただエムブレムが取り外されてるのでなんか顔がのっぺりした印象。
冬の間の土休日だけ走るスキー列車ということもあって、こんな小雨が降るような気温の高い日にはどうせガラガラだろうと思っていたんですが案の定驚くほど空いてました。
グレードアップ車だったからというわけでもないんですが最後尾のクハに乗ってまったりと。モハのサウンドも魅力的なんですが、国鉄型特急車独特の重厚感もなかなかのもの。特に空いている時にはこの客車ライクな乗り心地がなんともたまりません。


深谷駅と209系
途中の深谷では疎開留置中の京浜東北線209系を発見。この後直江津でも見た時にはさすがに驚きましたが…。


そして列車は高崎を過ぎ、新前橋を過ぎ、いよいよ上越線区間へ。

上越線の風景(その1)
広大な畑ばかりのところからだんだん山が近づいてきて、その山々からところどころ湯煙が上がっているあたりはなんとも温泉地らしい風景。
だんだん雨も上がって、洗い流された後の澄んだ空気とまだ雲に覆われた空、そしてこの寒々しい風景の中をゴトゴトと走ってゆく国鉄特急…これだけでももう旅情たっぷり。


上越線の風景(その2)
さらにしばらく進むとだんだんと沿線に融け残った雪が少しずつ見えるようになってきました。
そして水上あたりまで来た頃にははっきりと雪が残っているいい感じの風景に変わってきたんですが、しかし驚くのはまだまだ早かった。


上り線と分かれて新清水トンネルに入り、しばらく走るとあの有名な日本一のモグラ駅こと土合を通過。ただ最近はかつての通過線部分のみしか使われておらず、副本線部分に真新しいホームが設置されていて雰囲気が半減してしまったのがちょっと残念。
ところでかの有名な川端康成の小説『雪国』の冒頭部分、『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。』という一節に出てくるトンネルは今では上り線として使われている清水トンネルなんですが、この新清水トンネルはそれにもましてひたすら長い。そして一体いつになったら抜けるのだろうかと思わされるほど長いこのトンネルを抜けた先は…



雪国だった。


本当に全てが雪に閉ざされた銀世界。
かつて文豪が見た世界を肌で感じることができたことに思わず感動。


越後中里にて
越後中里駅はもう駅の向かい側がスキー場。ここでスキー板をかついだ人たちが降りてゆく。


上越線の風景(その3)
白い霧、白い雪、白い空。見渡す限り白が広がっている。


そこから少しばかり走り、第一の目的地である越後湯沢に到着。
189系と雪山@越後湯沢
この土日で今シーズンの運行を終えるスキー列車。想像していた以上に良い列車でした。


さて、大宮での入線が発車のわずか5分ほど前だったということもあってまだ朝食を食べそびれていたので、越後湯沢のホームから上に上がったところにある立ち食いそばで朝食。


舞茸天そば
舞茸天そば。さすがにここまで雪国になるとなかなか肌寒いわけでして、そんな中で食べるこの温かい蕎麦は格別。
ゴロンと大きな舞茸天が3つとワカメ、葱が入って450円。冷凍麺を使っているということもあってこれはなかなかクオリティ高いです。この濃い目の鰹だしが蕎麦にはよく合ってます。


前に越後湯沢に来たのは小学校を卒業した年の春休み。その時にはまだ無かったような気がするお土産物屋さんなんかが立ち並ぶコーナーが新しく出来ていて時間をつぶすには不便はありません。
とりあえず駅前に出てみたりしつつ、駅前の土産物屋で元祖柿の種の小さな缶と笹団子1つを買ってホームへ。次に乗る特急はくたかは関東〜北陸の移動のメインルートということもあって間際では座れないことも多い人気列車ですが、発車の30分以上前には既に入線しているということで、ゆったりと座って待てるのはなかなか良いサービス。


スノーラビットロゴ
北越急行スノーラビットロゴマークはくたかにはサンダーバードと同じ配色のJR西日本の681系と、北越急行所有の赤い681系・683系の『スノーラビット』が共通運用されていて、今回自分が乗ったのはなんと基本編成・付属編成合わせた9両まるまるスノーラビット編成。
先頭車のあたりで写真を撮っていると、この春に廃止される土・日きっぷを使って旅行しているという川越から来た人が記念に写真を撮ってくれました。一人で旅行しているとなかなか自分が行った記念の写真なんて残らないのでありがたいもんです。


681系スノーラビットと雪山@越後湯沢
雪兎にはやっぱり雪山がよく似合う。


683系スノーラビット&HK100形ゆめぞら号@越後湯沢
同じく北越急行の『ゆめぞら号』との並び。この車両で上映される映像もなかなか凄いらしいので一度乗ってみたいもんです。


683系スノーラビット@越後湯沢
流線型の681系はそれだけでもなかなかカッコいいんですが、このスノーラビット編成のデザインは特に好きだったり。これが堂々の9両編成ときたもんだから素晴らしい。おかげで今日は沿線で結構撮り鉄をよく見かけた気がします。


さて、コンコースのお土産物屋さんの佃煮のコーナーでおばちゃんといろいろ話してたらもう発車間際になったので慌ててホームへ戻る。上越新幹線からの乗り継ぎ客が一気に乗り込んできて車内は満席。指定席も完売のようで…さすがは人気列車。


越後湯沢を出るとまずは一面の雪原の中を上越線で六日町まで。
上越線の風景(その4)
寒々しい銀世界と、暖色を基調とした681系車内とのコントラストがなかなかいい感じ。
このはくたか6号は何気に最速のはくたかで、金沢までの途中の停車駅はなんと直江津、魚津、富山と高岡だけ。というわけで分岐駅かつ会社境界である六日町も颯爽と通過していくんですが、そこからはいよいよほくほく線に突入。
ほくほく線といえばなんといっても在来線最速の160km/h運転でその名を轟かせる存在なんですが、いよいよ『高速進行』で160km/h運転開始。雪原の中をすっ飛ばすスノーラビット…こりゃカッコいい。
とはいえほくほく線は途中の十日町近辺などの一部区間を除いて基本的に山でもなんでもお構い無しにひたすら一直線に貫いてるので大半はトンネル。単線トンネルに160km/hで突っ込むということもあって気圧対策は万全なんですがそれでもやっぱり耳には相当きますねこれ。
しかもトンネルの中を走ってるもんだからいくらすごいスピードで走っててもほとんど分からないわけでして、結局160km/hの速さを実感できたのは最初と最後の合計2〜3分ほどの間だけだったような。でもやっぱり速かった。

そして犀潟からは少しだけ信越本線に入り、糸魚川からは北陸本線。とはいっても実質一続き。
北陸本線では最高速度は130km/hではあるとはいえなかなか快調な飛ばしっぷりで、右手には海岸も見えてきました。


北陸本線の風景(その1)
灰色の空に、勢いよく押し寄せる白波。これぞまさしく冬の日本海


なかなかの景色を楽しみながら、あっという間に時間が過ぎて富山を出て、高岡を出て、終点金沢に到着。いや正しくは後ろの3両だけは金沢で切り離して和倉温泉まで行くわけなんですが、それについてはまた今度行くことにしますか。




さて、朝食に続いて実は昼食もまだだった自分。
しかし次なる目当ての雷鳥はまだまだ先なので、とりあえずまずは駅弁を仕入れたものの時間が大量に余る。
…というわけでここで携帯発動。ネットでいくつか調べて、ふと気になったので金沢駅一番街の『あじわい館』にある黒百合というお店に立ち寄ってみることに。
ここは加賀のおでんや様々な郷土料理を味わえる居酒屋で、大きな駅ビルの一角に入っているというのにかなりアットホームな雰囲気。
とりあえず平日の昼はお得な定食があるとのことだったので、『おでん定食』をオーダー。


おでん定食
おでんの他にごはん、味噌汁、漬物がついて680円。まぁ値段的にはそこそこ。量的にはそれほど多くないんですが、今回はつなぎ程度の目的なので問題は無し。
おでんの具は焼きどうふ、ちくわ、鰯のつくねの3種類なんですが、おでんをメインに据えてあるというだけあってこれは美味。特に個人的にこの鰯のつくねがツボ。
おでんのだしはどんな感じだろうと思っていたら、どちらかといえば関西の味に近いんですが完全に関西というわけでもなく、少し関東テイストも入っているというあたりにこの北陸という場所の特徴がよく表れてます。ただ今まで北陸を何度か旅行して思ったことは、心なしか金沢にはすごく温かい人が多いイメージ。あと特にこの金沢周辺は食のレベルが相当高いですよね。また機会があれば近江町市場にも行ってみようっと。


黒百合

食べログ 黒百合



オリンピックのなにやらよくわからないカオスなスケート競技を観戦したりしつつ店の中でまったりして、それでもまだ時間があったのでコンコースをうろうろ。
521系車両見学会ポスター
今度とうとう金沢進出する新車521系の車両見学会の告知ポスター。北陸にもお布施無しで新車が入ったというのに、広島や岡山にまともなJR型が入るのはいつになることやら。マリンライナーは除く。


ありがとう『北陸』号パネル
今度の改正で廃止される『北陸』と『能登』の惜別のパネル展示も。北陸かぁ…地味な存在だったからなのか、自分には全然縁のない存在だったなぁ…。でも実は昔富山で写真は撮ってたりしなくもない。


北陸・能登撮影スポット
ここから撮影しましょう、という目安で囲まれた撮影スポット。ここでは能登&北陸の並びが拝めるんですが、ここからバルブしようと1〜2時間前から陣取っててもどうせ最後に子連れの客に割り込まれてまともな写真は撮れないのがオチ。


そして本日の最後のお目当て、特急雷鳥号が入線。せっかく撮れるところで待ってたのにハイビームにピントをずらされ撃沈。せっかくマニュアル露出にしても安心できないもんです。


金沢駅と485系
今度の改正でとうとう残り1往復になってしまう485系雷鳥。乗れる間に乗っとかないと。
ちなみに去年の秋以降残っているのは大阪側の先頭車がパノラマグリーン車になってる編成だけ…


…の!はずでしたが!!
485系特急雷鳥@金沢
やってきたのはまさかまさかの非パノラマクロ編成であるA10編成。これは代走…?


雷鳥ヘッドマーク
サンダーバードもいいけど、伝統あるこの雷鳥の名前もできれば残して欲しかったなぁ…(´・ω・`)


さて、そろそろ発車時刻なので乗り込む。
車内は朝乗った189系とは違ってかなり古めかしい感じで、良くも悪くも昔の雰囲気たっぷり。ただ空調の細かい調節がきかないおかげでやたら暑いのだけは勘弁('A`)


フラットの音が気になりつつもガラガラの自由席を陣取ってこれから大阪を目指します。
北陸本線の風景(その2)
空には晴れ間も覗き、田園地帯の向こうに広がるのは雪を冠した山々。この透明感がなんともたまらない…。


そしていよいよ駅弁タイム。そりゃ旅といったらやっぱり駅弁でしょ!
利家御膳
この間夏には売り切れてて買えなかった『利家御膳』。
かつて江戸時代に百万石の栄華を極めた加賀藩で実際に出されていた料理をベースに現代風にアレンジしたというこの駅弁は、治部煮をはじめとした加賀の郷土料理を楽しめる逸品。金沢の駅弁は富山のますのすしのようなインパクトのある駅弁は少ないんですが、その代わり全体的にバランスのとれたレベルの高い駅弁が多い印象。
しかし個人的にはその中でも治部煮という加賀の郷土料理はやたら気に入ってたりします。これって自分でも作れないかなぁ…。


雷鳥サンダーバードとは違い途中のいろんな駅にちょくちょく停まりつつ、そのたびに少しずつ客を拾いつつ、敦賀を過ぎると再び曇ってきた空の下ループ線を駆け抜け、近江塩津で折り返しで停車中の223系を目撃していよいよ関西に戻ってきたなぁと思いつつここからは湖西線へ。しかしなんとここからが本番だった。
この485系は普段は最高120km/hで走るんですが、北陸トンネルとこの湖西線区間でのみ怒濤の130km/h運転。これが実に素晴らしい走りで、ある意味はくたかの160km/h運転以上にスピード感があったかもしれません。485系の本気を垣間見た…!
そしていよいよ京都を過ぎ、お馴染みの風景の中列車線を走り、新大阪を過ぎてとうとう終着駅である大阪に到着。


大阪駅と485系
東京から大阪まで、新幹線を使わず、北陸経由でひたすら特急車を乗り継いで1日で帰ってくる旅は想像以上のボリュームでした。なんかもうお腹いっぱい。
一人旅ということもあって途中で入試にまつわるいろんな嫌なことをふと思い出したりしたこともあったもののなかなかいい旅でした。
そしてやっぱり旅の終わりに阪急電車に乗るとなんだか急にほっとするのでした。

車番・乗車距離

稲田堤〜府中本町:南武線・普通/立川、モハ208-136
府中本町〜武蔵浦和武蔵野線・快速(武蔵野線内各駅停車)/東京、モハ205-5057
武蔵浦和〜大宮:埼京線・普通/川越、70-084
大宮〜越後湯沢:高崎線上越線・快速シーハイル上越/石打、クハ189-508
越後湯沢〜金沢:上越線北越急行ほくほく線信越本線北陸本線・特急はくたか6号/和倉温泉、クモハ681-2502
金沢〜大阪:北陸本線湖西線東海道本線・特急雷鳥34号/大阪、モハ485-119
梅田〜夙川:阪急神戸線・特急/新開地、8100
夙川〜苦楽園口:阪急甲陽線・普通/甲陽園、6121


●乗車距離(1日):761.4km