奈良を習おう

長谷寺の牡丹

今日は久々に、晴れて京大生&鉄緑講師へと進化した台氏(仮称)と2人で奈良方面に行くことに。


というわけでまず朝からバスに乗って30分かけて阪神芦屋まで出て、たまたま阪神車でやってきた快急9000系に乗車。
途中今津で台氏(仮称)と合流し、さて奈良へと向かいます。
自分にとっては阪神なんば線は今回は初めてではないんですが、しかし尼崎での増結シーンは実は初めて。開業当初はかなりgdgdで悲惨なことになってたようですが、今日はさすがにもう慣れてきたのかさっさと繋がりました。
休日なので西九条まで快調に飛ばし、新線区間を抜けるといよいよ近鉄へ。本当ならこのまま奈良まで行くところですが、第一の目的地を目指すために大阪上本町で下車。
大阪上本町にて
難波とは違ってちゃんとしたターミナル駅の雰囲気が。こうして4つの線路に車両が並んでいる姿は壮観なのかもしれませんが、普段阪急梅田を見慣れているとさすがに何とも思わなくなるんですよね。。


というわけで宇治山田行きの急行に乗車。奈良線阪神直通用にVVVF車をかなり取られたので大阪線系統は旧型車のオンパレードです。
近鉄というとどうも特急以外はあんまり速くないイメージがあったんですが、それとは対照的に意外なほど途中は気持ちいい走りを見せてくれて大和八木、そして桜井に到着。本来ならばこのあたりで乗り換えが必要になってくるんですが、この列車からはなんとこの時期だけ急行が長谷寺に臨時停車という素晴らしいオマケが付いてるので、そのまま長谷寺駅へ。


降りたら駅前は意外なほど閑散としていました。朝芦屋ではいい天気だったのにここに着くとどんよりとした曇り空。しかも季節外れのやたら寒い風まで吹いてきて冬かと錯覚するような状態です。
その寒い中を歩いていくと、途中の国道との交差点のところにお肉屋さんがあってコロッケが美味しそうだったので思わず買い食い。おかげで身体がホッとあったまりました。
駅からどんどん下っていって、川を渡るとようやく商店とかの立ち並ぶ通りに。
この一帯の『初瀬』の地域はちょうど川沿いの谷のあたりにあって、この地形が長い谷だったということで枕詞が生じて『長谷』を『はせ』と呼ぶようになったという歴史があるようで。…ということはもしかすると…


『初瀬川』
やっぱりありました『はせがわ』。ここでは元々の地名のほうの『初瀬川』と表記するようですが。ちなみに熊が出没するようなことはどこにも書いてはありませんでした…って内輪ネタサーセン


気になるお店もいろいろあったんですが、とりあえずまずはお寺だろうということで旬の長谷寺へ。
このお寺も古文にもよく出てくる歴史のあるお寺で、当然あの大仏で有名な鎌倉の長谷寺もここの分社。現在はこの4〜5月にかけて牡丹の花が咲き乱れるということで一番のシーズンなんだとか。
実際入ってみると、たしかにそう言われるだけあってひたすら牡丹の花だらけ。これほどたくさんの牡丹の花が咲いているのを見るのはおそらく初めてです。


緑の牡丹
緑色の花が咲くという珍しい牡丹はまだ蕾。
この緑の牡丹は、中でさらに100円払って宝物展を見に行く人しか見られない場所になっていたので、せっかくなのでついでに宝物展も見学。昔からの歴史を語る史料はもちろんのこと、特別展として教科書に載っているような徳川の将軍の絵の実物が飾ってあったのには感動しました。これがあの…!!


で、天気予報は曇時々晴れで降水確率20%とかだったにも関わらず降り出した雨。幸い階段は屋根付きだったのでそれほど濡れることは無かったのがありがたかったんですが。しかしまぁ、こういうお寺ってのは雨の日もまた趣があってよろしいもので。


長谷寺にて(その1)
雨垂れ。


長谷寺にて(その2)
一面に咲き乱れる美しい大輪の牡丹。


長谷寺の牡丹
色鮮やかで大きく、写真に撮るには格好の被写体かもしれません。
ところでこれを見てふと思ったんですが、よくお祝いとかで飾ってある紙で作った飾りの花はもしかするとこの牡丹をイメージしてるんでしょうか…??


霧雨の赤牡丹
艶やかな美しい花に、真紅の雫。


長谷寺にて(その3)
侘寂の新緑。


正直長谷寺は遠いからちょっとなぁ…と思いつつも、時間を割いて無理してここまで来てみたらこれほど素晴らしいお寺だったとは。
この時期にこうして長谷寺参りが出来るというのは関西にいるからこそなんですが、来られるうちに来ておいてよかったなぁ、と思えました。


そして階段を上がっていってようやく本堂へ。
大きな観音菩薩像が祀られていて実に神々しい雰囲気でした。
こうして神社や仏閣や他のいろんな宗教施設を回ると思うことは、仏教にしろキリスト教にしろ、神や仏がいると崇められる場所にはやはりそれだけの理由があるというか、本当にそこに神が宿っているような気さえしてしまうような見えないパワーが漂っているような感じがするんですよね。


長谷寺にて(その4)
本堂から外を覗く。この光のコントラストがなんとも美しい。


長谷寺にて(その5)
本堂の正面の舞台から見渡す景色。山を覆う木々の新緑が実に鮮やかです。


長谷寺にて(その6)
そして正午になったからなのか、お坊さんたちがなにやら吹き始めました。


提灯と五重塔
常夜燈の提灯と五重塔。個人的に結構気に入ってる一枚。


長谷寺にて(その7)
五重塔にて。


長谷寺と牡丹
そして最後は紫の牡丹の花と本堂を絡めて。


というわけで、なんだかんだで実に素晴らしく絵になる風景満載のお寺だったこともあって、普通の人なら2時間ほどで回るところがお寺を出る時点で既に3時間近く経っているという状態。たっぷり楽しませてもらいました。ちなみに売店で手作りの長谷寺の牡丹の形をしたストラップを買ってしまいました。
そして帰りの参道のところでいろいろ見て回ったんですが、三輪そうめんの『節』の部分だけをたくさん袋詰めしたものがなかなか面白そうだったのでお土産に購入。さらに生の山クラゲというなかなか楽しいものを見つけたので衝動買い。ホントはこんなにお土産買う予定はなかったんですけどね。。
で、小腹も空いてきたので試食の草餅やお漬け物をいろいろ味見してみたり出来たてでまだ馴れていない柿の葉寿司を1個だけ買って食べたり、山菜おこわを饅頭の生地でくるんだ謎の食べ物を買ってみたりといろいろ楽しんでしまいました。どんな味の食べ物なのかというのをいろいろ楽しめるってのは素晴らしいです。


なんだかんだで予定より大幅に遅くなったもののようやく長谷寺の駅まで戻り、そこから急行で桜井へ。
近鉄21020系アーバンライナーnext@桜井
その直後にたまたまアーバンライナーnextが通過。


ここからさらにそうめんで有名な三輪まで行きたいんですが、バスも出たところだったので1時間にわずかに1〜2本しかないJRの電車をひたすら30分近く待つことに。
そしてようやく待って乗った桜井線。当然ながら車両は105系の2両編成で、田園地帯の単線の線路をのんびり走ります。そのすぐ近くに近鉄の車両が6両とかで頻繁に走ってるもんですから、これだけ見てもいかに奈良県内で近鉄が圧倒的勢力を見せつけているかがよく分かります。


105系和歌山色@三輪
三輪ではついでに対向列車を撮影。


そして駅からしばらく歩いたところにあるお店で、本日のメインのひとつである三輪そうめんを食べることに。
外は正直もうすぐ5月とは到底信じ難いような寒さなのでにゅうめんがよく売れているらしいんですが、やはりそうめんの麺の本来の美味しさを味わうなら冷やしでしょう、ということで冷やしそうめんを定食にして注文。


三輪そうめん(その1)
そうめんの他に、煮豆やお漬け物、そして筍おこわ。この筍のおこわがまた春っぽくて美味しいのです。


三輪そうめん(その2)
で、これが名物三輪そうめん。いったい太さは何ミリなんだろうかと思うほど細いのに、食べてみると意外なほどに程よいコシがあってこれは至高の逸品。もちろん喉ごしに関しては何も言うことはありません。一見少なそうに見えて、無駄なス隙間が全くないように美しく盛りつけられているので見た目以上に食べた感じがしました。


降っていた雨がほとんど止んだので、いよいよここから本日2つ目のイベントである山の辺の道へ。
ここは東海自然歩道の中でも特に人気のハイキングコースで、天理〜桜井周辺の山の縁を歩いていくと神社や古墳といった史跡がたくさんあるのでまさに定番中の定番。


山の辺の道にて(その1)
太い道から細い道まで、山道から里の道まで、とにかくバリエーションに富んでいて飽きることはありません。


山の辺の道案内碑
奈良の歴史街道としての案内碑もバッチリ。どうでもいいけど地名に何か反応したら負け。


山の辺の道にて(その2)
田んぼや畑のところを歩いていると、周りでカエルが一斉に大合唱を繰り広げていました。


山の辺の道にて(その3)
小トトロあたりがひょこひょこ出てきそうです。


大和青垣
この大和青垣は国定公園にも指定されているような風景の場所。


山の辺の道にて(その4)
筍を掘らずにずっとそのまま置いておくとこうなります。そして次第に新たな竹へ。


みかん畑看板
みかん畑もあったんですが、なんと木のオーナーになってくれる人を集めているんだとか。中には東京のほうの人の名義になってる木も。


景行天皇陵
しばらく歩いていると見えてくる景行天皇陵。とにかく大きい前方後円墳なんですが、残念ながら近くで見ると逆に分かりにくくなる気がします。
しかしこうして歩いてて普通に古墳がゴロゴロしてるあたり、やっぱり京都と奈良ではまた全然違うよなぁ、と。




そしてある時に見つけたものを見て自分と台氏(仮称)は2人とも瞬間的に同じことを考えたのであった!


山の辺の道にて(その5)


えーと、、どっちが正直村なんだろう…!?


えぇい仕方ない!『あなたの村はどっちですか?』



しばらく歩いていると再び雨が結構降ってくる。降水確率20%の予報なのに折り畳み傘なんて自分は持っていないので大変。途中で切り上げようかとも思いましたが、すぐに止みそうな感じだったのでとりあえず強行。


藤棚
途中、休憩できる場所があってそこの藤棚が素晴らしく綺麗だったので思わず撮影。
そうこうしている間に再び雨が止んだのでさらに進みます。
まぁ時間が時間なだけに、全長15km弱を明るいうちに走破するのはさすがに無理があるにしてもできれば行けるところまでは行きたい。
そう思って、さらにもうひとつ先の古墳があるあたりまでは来てみたんですが、ちょうど見晴らしの良かったそこから盆地を一望して驚く。


…うわ、大きな雨のカーテンが迫ってきてる…!!


今までの雨は結構すぐに止むような雨だったんですが、今度はそれよりも明らかに大きな雨雲の塊が、ひたすら雨を降らしながらゆっくりとこちらに向かってきています。これはあと10分ほどで雨が来る…。
そういうわけで、今までひたすら強行してきたにも関わらずこの瞬間スッパリと終了を決断。2時間弱かけて三輪〜天理間の約半分にあたる6km弱を歩いたことになります。のんびりしてた気がする割には結構ハイペースでした。
しかしそうゆっくりしてはいられません。もうすぐ雨は降るし、徒歩15分ほどの距離にある柳本駅を出る電車まであとわずかに8分。しかもそれを逃したら次の電車は40分後。というわけでここから疲れた身体での長距離走開始!これは最近の運動不足の身体には結構しんどい…。
ぽつぽつと降り出した雨の中ひたすらダッシュを繰り返し、柳本駅に着いたのはちょうど電車が入線する頃でした。間に合ったー…!!


そんなこんなでそこからの半分はあっという間で、わずか数分のうちに天理駅に到着。いくらローカル線のボロの105系とはいっても腐っても電車。やはり徒歩とは比較になりません。


天理駅
そしてこれが日本有数の宗教都市・天理の玄関口となる天理駅
1時間に1本、たった2両の列車が発着する駅とは到底思えないこの立派な高架駅は、ここが団体客たちを運んでくる時にいかに重要な役割を担っているかがよく分かります。団体専用改札に団体専用待合所、そしてたくさんのホームや留置線…ある意味ではものすごく特殊な機能を持った駅。


ここからは近鉄を乗り継いで近鉄奈良まで行ってから、また阪神9000系に当たった三宮直通最後の快急に鶴橋まで乗車。石切の坂から見た大阪の夜景は最高でしたが、気がついたらその後爆睡してた気がしなくもない。


で、もういい具合に夜になったので最後は鶴橋で夕食。
鶴橋といえばそう、焼肉という意見が大半を占めるんでしょうが今日は敢えて前から一度行きたかった鶴橋風月へ、しかも本店ですよ本店。
まずはげそ焼きを食べつつ店員さんが焼いてくれるお好み焼きの焼き上がりを待つ。ここのお好み焼きってビックリするほど粉に対するキャベツの割合が多いんですよね。多分広島風並み。
お好み焼き
結構な時間がかかってようやく完成。やっぱりキャベツの甘味がたっぷり閉じ込められてて実に美味です。
他にも鶴橋風月の名物とも言うべき焼きそばをはじめとしてたらふく食べまくり、朝から晩まで大満足。しかしこれだけたくさん歩いたからさぞ健康によろしいことで…と思わせておいて、どう考えても消費カロリーよりも摂取カロリーのほうが大幅に上回っているというオチがあったのはもはや何も突っ込まないでおこう。。
鶴橋風月本店


で、直通列車はもう全て尼崎止めなうえに尼からの急行がなぜか甲子園止めなので、仕方なく鶴橋〜今津まで全駅停車で阪急に乗り継いで快急甲陽線で家に帰ってきたら、鶴橋から家まで軽く1時間半以上かかりました。いやー最後がここまで遅いとは…。
でも、今日は久々に充実した休日で楽しかったです。やっぱりこういうのも必要だよねっ!?