阪急=やればできる子

阪急7017F臨時西宮北口@嵐山

阪急。それは日常的に使うには申し分の無いクオリティを持った上品な鉄道で、その代わり面白みや話題性には欠ける。そんなことを考えていた時期が自分にもありました。




今日から金曜日までの間、西宮北口〜嵐山という謎の臨時列車が走るというから気にはなっていたものの、なにしろ平日だけだし往路は西北10時台、復路も嵐山15:51でつまり学校があって乗りにはいけないわけで。
だからまぁ仕方なく学校帰りに西北かどこかまでちらっと見に行くか、朝遅刻して行くことがあればそのついでに見てから行くかなぁと思っていたら、










ま さ か の 5 時 間 授 業 k t k r ! !


そして5時間授業後すぐに飛び出して岡本から乗ればなんと嵐山に着くのがちょうど発車時刻の10分ほど前。


うちの学年では担任団が無駄に元気なおかげで授業カットの5時間なんて1学期に1回あるかないかの大珍事で、国語のケロちゃんが野球部の試合の抽選会以外で休むなんて今まで一度あったかどうかのレベル。しかもよりによってこの週の、おまけに月〜金のうち唯一塾も家庭教師もない6時間授業の日である月曜日にピンポイントでこのイベントが発生するなんてのは偶然の域を通り越した巡り合わせというか、今日もまた強運マジック発動きましたか…!


昨日一念発起して勉強スタートを決めたとはいえ、さすがにここまで恐ろしいほど都合良く条件が揃ってるとなるともはやこれは行けというサインだとしか思えませんねっ☆
ま、学校でどーでもいい授業で1時間潰すことを思えば実際これといって大差はないだろうし、こんな千載一遇のチャンスをみすみす逃すなんてことをしたら後々絶対未練が残ったままになるというわけで、幸風りっく君と2人で放課後7000系特急と7300系のハズレ特急を乗り継ぎ、単語帳やらを見て適当に勉強しながら嵐山までレッツゴー。


で、嵐山に着くと、まだ扉を開けるまではかなり時間のありそうな白幕の留置車の前に大量に列をなして並んでいる大量のお客さんがいてビックリ。
しばらくしてようやく幕を回して『臨時』表示になり、ドアを開けた瞬間ぞろぞろと乗り込む乗客。先頭車こそヲタだらけなものの、後ろのほうは予想以上にたくさんの観光客が乗っていて立ち客まで出るレベル。これは意外。

充当車両は無難に7017Fの6連で、幕こそ種別が臨時で行き先は白幕という素っ気ないものでしたが横には間違えないように西宮北口⇔嵐山の臨時列車のステッカーが貼られてました。
臨時西宮北口⇔嵐山ステッカー
さらに正面には今回のために作られた臨時のヘッドマーク。車内の路線図も特別にこの臨時列車の経由地と停車駅を書いたものに変わっているという気合いの入りよう。


これがもちろん川の向こうのアホな(褒め言葉)会社なら『臨』看板と鳩看板と列車名HMの3枚看板であの豪華車両を走らせそうなもんですが、いくらありふれた7000系ロングシート車だとはいえ数十年ぶりの神戸線京都線直通列車で嵐山直通自体も嵯峨野エクスプレス以来8年ぶりと、ずいぶん頑張ったと言って差し支えないレベル。


阪急2309F@嵐山
6300系リニューアル車の登場によってそろそろ終わりが近づいてきたかもしれない2300系の看板車。


阪急7017F臨時西宮北口@嵐山
嵐山駅の温かい色の照明の中に佇む臨時列車。シンプルながらもなかなかマニア心をくすぐるヘッドマーク


直通臨時列車停車駅案内
そしてこれが特別に作られた停車駅案内。嵐山〜西宮北口の全駅掲載でなかなか分かりやすいです。


警笛を軽く鳴らして発車すると、最初はゆっくりと嵐山線内の各駅に停まりながら走り桂のC号線へ。そこを出た後は今度は京都線を準急の後追いでさらにひたす惰行運転。まぁ臨時だから仕方ない。
しかしこの列車の驚くべきはその停車駅。桂を出た後の次の公式の停車駅はなんと神戸線の十三。


低速で流しながらも決して止まることなく走り続け、今では全列車停車になった長岡天神を通過、そしてなんと高槻市も通過。この光景はかつて幼稚園児だった頃とかに京都に墓参りに行った時の特急十三〜大宮間ノンストップ時代以来ときたもんだからなかなかの爽快感。発車する時や、撮影者のいるような駅を通過するごとに軽く警笛を鳴らしていくあたりがなんとも粋というか。


そのうち途中で係員が数人で回ってきて、検札でも始めるのかと思いきや実はなんとアンケート配り。最寄り駅だとかこの列車を知っていたかとかそういう類の質問でしたが、回答者には抽選でラガールカードをプレゼントだとか。そしてさらに、もれなく嵐山の紅葉ガイドとかのチラシの入った嵐山のクリアファイルとアンケートで使ったキャップ付きのボールサインの黒ボールペンまで貰えるおまけ付きとは実に良心的なサービス。


淡路の手前で信号待ちで一度停車こそしたものの一度もドアは開閉しないまま十三まで来て運転停車、そして正雀からの検査明けの出場と同じ要領で亘り線を使って気がつけば宝塚線へ入りそのまま梅田6号線へ。
普段から梅田での折り返し乗車はダメということになっているものの今回は梅田で客扱いをしないことでその問題も回避できるわけですが、梅田では特に降車のアナウンスもなく10分ほど運転停車扱いのはずなのになぜか降車ホーム側の扉が数十秒間だけこっそり開く。このあたりもいちいち気が利いてるというか、阪急なりの優しさが感じられた瞬間。
十三から神戸線を6連で走っている時の感覚は、あの懐かしい須磨浦公園行きみたいな感じで懐かしかった。この際せっかくだから源氏物語千年紀にちなんで嵐山発須磨浦公園行きの『源氏の都落ち号』なんてのh(ry


しかしこの電車、平日の夕方ラッシュにさしかかる時間に無理矢理ねじこんだだけあってダイヤ的には相当ハチャメチャで、茨木市では準急が3分停車で特急待避をする間にさらにこの列車も待避。おまけに十三に至っては後から来る特急が16:40発なのにも関わらずこの列車の発車時刻は16時40分10秒!!…そもそも時間通りに走らす気がないとしか思えないですけどこれ。
結局桂やら十三やら中津やら、反対側の線路をまたぐたびにその向こうで定期列車が止まって待たされてるといった具合で、ひたすら各線区のダイヤに支障を及ぼしまくりながら走るとんでもないゴリ押し列車っぷり。まったく無茶しやがって


それにしても、オールロングだし梅田経由だし特急乗り継ぐより時間がかかるしで、直通するという一点を除いては何の意味もないような臨時列車を何を血迷って走らせようと思ったのかが未だに理解できません。
しかしまぁ、シートが柔らかいおかげでロングシートで1時間半座ってても苦にはならなかったし、時刻や写真を見ているだけでは決して味わうことのできないであろうカオスを体感できて予想以上にクオリティの高い臨時列車でした。阪急はやればできる子。
予想以上に利用客多かったし、またいつかこういうの走らせてくれたら楽しいもんですね。



ちなみに勉強のほうもちゃんとやってますよ、と付け加えておく。
しかしこの間の実戦の数学の体積の積分問題、切り方を変えたら10分もかからずに簡単に解けてちょっと凹んだのは内緒。。