人間とはカネに支配された生き物である。

例によってあまりニコニコとかの話題は持ち込まないようにしてるんですが、今回ばかりは見過ごせない問題が起きてるので、紹介も兼ねて書いておくことにします。それにしても今日一日でドワンゴの株価が10%以上も下落したのには驚いた。


なんか最近『初音ミク』というのが流行っていて、それに関してはこの間のメルトのところでも紹介したんですが、ある意味それのキャラソン的な一面もある『みくみくにしてあげる♪』という曲がおそらく初音ミクの曲の中では最も有名な曲(現時点で)。実際この曲に出て来る『みっくみく』にするという言葉は確か現代用語の基礎知識か何かにも掲載されてるはず。
で、そのミクブームに本格的に火をつけたきっかけにもなったこの曲なんですが、最近ドワンゴがこういったミク曲の着うたの配信とかを始めたわけで。
まぁこれだけ人気のある曲なら、着うたとかが欲しいと思う人も当然のごとくいるわけですし、作者に若干お金が入るとしてもむしろそれは素晴らしい作品に対する対価が支払われる、という理想的なことなので問題はないんです。いや、なかったんです。
そこにいったいどういう問題が生じてきたかというと、その曲なんとあのJASRACの管轄下となってしまった、ということ。これがまず第一。いくら著作権は大切だとはいえ、やってることを見ると単に他人の音楽を金儲けの道具として使っているとしか思えないカスラックに、クリエイティブなネットの土壌に生まれ育まれた作品が取られてしまったことは相当なダメージですし、そんなことが受け入れられるはずがない。
次に、ドワンゴJASRACに委託した時にアーティスト名が『初音ミク』となっていたんですが、これは初音ミクの発売元であるクリプトン社との承認の上でのものではなく、おまけに明らかな規約違反だったということ。これは結局クリプトン側がそれに気付いてドワンゴに抗議して、社内伝達不足によるミスだと謝罪があったためこの点に関してはある程度沈静化。
そして、今ドワンゴが着うた配信しているたくさんのミク曲のほとんどは作者に無断で有料配信されている、という現実。実際これに関してはいくつかの曲の作者さんが2ch内などで公表してます。
しかも勝手に配信しているうえにその管理権などを曖昧なメールによるやり取りだけでJASRACに委託してしまう、というこのダブルコンボが致命的。まぁ、今回ばかりはJASRACが悪いというわけではなく(まぁ体質がどうのとか存在自体が悪いとかそういうのは置いといて)、8割以上はドワンゴに落ち度がありそうです。
ニコニコはJASRACとの提携(要するに対価の支払い)を検討しているらしいので近い将来JASRAC管理曲などの使われた作品の大半はOKされる可能性があるんですが、ネットであれ実社会であれそこから一歩出ると話は別であり、これからは作者の了解がある状態でさえも自由に演奏したりすることができなくなる危険性が大いにあるわけで、その可能性があるということも今までの喫茶店でピアノ弾いてただけでウン百万請求された気の毒なおじいさんの話やその他のたくさんの事柄からも安易に想像がつくわけで。
MIDIが流行していて、技術力も高まってきたと同時に音源も進化して全盛期を迎えた頃に、カスラックMIDIに金を取ると言い出して一気にブームが冷めたという事実。
そしてFLASHが流行していた頃、某a○exがFlashをCDのおまけに採用して、さらにはそのフラッシュに使われてた2chっぽいAAを商標登録しようとした騒動などいろいろあってFlashブームも去った事実。
著作権なんかなかった時代のことを考えても、芸術なんてのは二次創作なくしては発展は有り得ないと断言してもいいほどのものであるにも関わらず、『俺のカネだ』と過度に主張しだすと途端に衰退の一途をたどるという事実にまだ気付かない愚かな大多数の日本人。
カネに支配される社会の中で、芸術をカネで支配しようと『カネに支配された人間』が企むようになったとき、その芸術は芸術としての本当の価値を失うのかもしれない。


みくみく騒動まとめ→http://www32.atwiki.jp/mickmiku/