くるり回って房総の旅

キハ38系&キハ30系国鉄色@横田

つい2日ほど前に冬の閉ざされた世界を満喫してきたところですが、今日は一転して春の房総半島に飛び出そうということで18きっぷでふらっと日帰り一人旅。


というわけでまずは京王線駒場時代によく使っていた各停→中央線と乗り継いで東京駅まで出て、そこからは総武快速線E217系で千葉へ。実はこの区間に乗るのは大学入学よりももっと前に旅行で来た時以来かも。


211系房総色@千葉
一時はこれで113系を本格的に置き換えるのかと思われた房総色の211系も209系転属であっという間に他所へ飛ばされる運命に。今では成田線とかでわずかに走るだけですがこれもいつまで見られることやら。


さて、千葉からは安房鴨川行きの普通電車に乗って外房線の旅がスタート。動労千葉国鉄車大国だったこの地域も気がつけばJR車だらけになって今回乗る列車も京浜東北線から転属してきた209系。113系が引退する前に乗っておけばよかったなぁと今更ながらに思うわけでありますが、先頭車はセミクロスシートに改造されてて窓の大きさのおかげで場所によっては結構なパノラマビューが楽しめたりもするのでまぁこれはこれで悪くはない。
ちなみになぜかボックス席で居合わせたおばあちゃん3人が長野が雪降って寒かったとか飯山線暖房入ってなくてびっくりしたみたいな話をしていて、どうもその話を聞く限りでは信濃平から御宿へ往復切符で来ているらしい。偶然とはいえ行き先かぶりすぎてて吹いた…wしかしまぁやはりあの地域の人々にとって2年後に迫る北陸新幹線開業は地元の将来を左右する大きな問題のようです。


蘇我を過ぎると房総半島の付け根を海側へと突っ切り、東金線との接続駅である大網を過ぎてさらにしばらく行くと茂原。


七夕のまちもばら
『七夕のまちもばら』とのことですが茂原と七夕にどういう繋がりがあるのかは謎。単に七夕祭りがあるからなのか…?


E257系500番台&209系@上総一ノ宮
上総一ノ宮では長時間停車するなぁと思ったら後ろからE257系500番台の特急わかしお号が追いついてきました。しかしここでそのまま抜かれるのかと思いきや特急車が編成の解結をやっている間に乗ってきた普通列車のほうが先に出発し、しかもご丁寧に次の駅でその特急の通過待ちをするという始末。これわざわざ上総一ノ宮で普通を先に行かせる意味無いんじゃ…?


外房線の風景(その1)
菜の花が咲き誇る春の房総。海水浴のシーズンもいいけれど、やはり房総半島はこの季節が一番の見頃なんじゃないかなぁと思うのです。


御宿駅
さて、去年いすみ鉄道に乗った時に来た大原でいかにも同業者っぽい人がぞろぞろと降り、さらにそこから少し走ると途中下車駅その1に到着。今回は終点の安房鴨川までは行かず敢えて御宿駅で下車してみることにしたわけです。こじんまりとした街だけど、サーファーには結構有名な場所なんだとか。


松よし定食
ここで降りた主な目的は昼食。やはりせっかくここまで来たからには房総半島の海の幸を満喫しようということで、御宿駅から徒歩数分のところにある『松よし』という食堂で松よし定食という定食を注文。
こういう場所って観光客向けの店が多い中でこのお店は地元のお客さんがよく来ているっぽい雰囲気で、観光客相手の店と比べると明らかに価格帯も安め。その中でこの定食は1500円とそこそこいいお値段なんですが、たっぷりの魚介類のフライにお刺身までついているので十分その値段に見合うだけの満足度はあります。もちろんお刺身の内容は黒潮系の魚がメインでこれも美味しかったんですがなんといっても揚げたてのフライが絶品。こういう漁港の街ってのはもちろん新鮮な魚が入るのでそれをお刺身で食べても美味しいんだけどその素材の良さを生かした地元ならではの魚料理こそが一番の魅力な気がします。前に羅臼で黒はもを食べた時には本当にそう感じたなぁ。


御宿駅前にて
御宿駅前にて。ところで右のほうの看板、セックスにドラッグとはなかなかにロックな組み合わせだなぁ…(ついでに言えばここにバイオレンスとかが加われば完璧やん)と思ったらヤックスドラッグだった。ややこしい名前やなぁ…w


そんなこんなでちょうどいい感じに次の電車までの1時間ほどの時間を使ってお昼も食べたことだしぼちぼち御宿駅から209系の勝浦行きに乗って勝浦へ。


E257系500番台普通@勝浦
ここで出迎えてくれた安房鴨川行きはE257系の特急わかしおが勝浦で普通に化ける運用。つまるところ乗り得列車ってやつです。


外房線の風景(その2)
というわけでリクライニングシートにゆったりと座って房総の海をながめながらのんびりと外房線を行く。しかしそれにしても肝心の行川アイランドが無き今、果たして行川アイランド駅の存在価値とは…。


E257系車内にて
E257系って特にこの500番台はやたら人相が悪い前面デザインで正直趣味がよろしくないんですが、一方で内装に目を向けると濃いめのブルーが映えるシートに黄色い天井、そしてワンポイントとして車端部のLED車内案内表示器の両脇あたりが鏡面になっていたりしていい感じにモダンなマリンのテイストにまとまっていてなかなかセンスが良い。房総特急という観光需要と日常の通勤需要という異なる種類の需要に応えうるように極端にリゾート寄りにするわけでもなく簡素すぎるわけでもないこの現代的なデザインは好印象です。


で、安房鴨川ではまた数分乗り継ぎで209系に乗り換え、ここからは内房線の旅。最初のほうは別に房総半島の内側というわけでもないんですがそれでも名前はやっぱり内房線


館山駅にて
館山駅。それにしても風が強い。


内房線の風景
外房線から見える広々とした太平洋の海とは対照的に、内房線から見える海は東京湾方面なので少し雰囲気が違います。そして走りはどちらかというと外房線の勝浦以北のほうがいいような気がしなくもない。


木更津駅
木更津駅に到着。さてここからがいよいよ今日のメインイベント。


209系房総色100周年HM@木更津
…の前に君津あたりで面白い編成を追い越して来ていたのでそいつが来るのを待って撮ってみる。内房線久留里線の開業100周年を記念したヘッドマークを装着した編成。


…で、今日のメインイベントがこちら。


キハ38系@木更津
そう、久留里線。日本最後となった国鉄時代の通勤型気動車の類が現存している路線です。


久留里線ステッカー
久留里線のステッカー。


木更津駅車庫にて
木更津駅構内にある久留里線の車庫。お休み中の編成や機関車の姿が見えます。


209系&キハ38系@木更津
国鉄車だらけだった千葉もついに平成生まれの209系が登場し、このキハ38系と並ぶ姿はなんともミスマッチ。


で、キハ38とキハ30の2連だったんですが自分はまずキハ38の車端部にあるトイレ的なデッドスペース*1の向かい側に一ヶ所だけあるボックスシートを占拠し悠々とクロスシートの旅。この路線に新しく入る予定の新車もオールロングの予定なので地味に貴重な体験。


キハ38系&キハ30系国鉄色@横田
横田では対向列車と行き違いのためキハ38系とキハ30系国鉄色の並びが。後ろの空がなんともいい味。


キハ37系@久留里
さらに久留里でも交換待ちがあり、今度はキハ37系が登場。こんな路線なのに地味にバリエーションが豊富。



キハ30系国鉄色@久留里
外吊りドアが印象的なキハ30系。ちなみにキハ30系とか書いてるけど本当はキハ35系という通勤型気動車シリーズの一部であるキハ30形というのが正しかったりするわけですが、かつてはあちこちの大都市近郊の非電化路線やあの和田岬線でも一昔前まで走っていたものの今現在まだ現役で走っている路線はここが日本最後。


久留里線ロゴマーク
のんびりと走るだけでなく駅での交換の時もえらくのんびりと停車するんですが、それはこのロゴの通り、ついこの間のダイヤ改正までタブレット閉塞が残っていたためなのでしょう。本当にどこまでも昭和というか、東京からわずか1時間ほどの場所にあるにも関わらず完全に時代に取り残されてしまった路線です。実にユートピア


久留里線の風景(その1)
久留里を過ぎると今までの平野部から風景は一変して一気に山っぽい車窓に。いまどき非冷房(!)の車内で全開にした窓から入ってくる山の香りを含んだ風が実に心地よい。


キハ30系車内
終点上総亀山に着いて車内が空っぽになったので貴重な車内の写真も撮ってみる。こっちがキハ30。


キハ38系車内
そしてキハ38。写真には写ってないけどこの撮った位置よりも右手前のほうに例のボックスシートがあります。一応こっちはバケットシートになっていてさっきのキハ30よりも幾分か新しそうな雰囲気。…五十歩百歩か。


上総亀山駅にて
一応当初の計画としてはここからさらに大多喜方面へと延伸していくはずだったんですが、結果的にここよりも先に鉄路が伸びることはありませんでした。


無人化告知@上総亀山駅
つい最近まで有人駅だった上総亀山駅タブレットの廃止によってついに寂しい無人駅に。


キハ30系国鉄色@上総亀山
車止めの向こうから駅を見るとなんともいえないローカル線の終端ならではの哀愁が漂います。


上総亀山駅
上総亀山駅。駅前も少し散策したことだしそろそろ折り返しの列車に乗り込みます。せっかくだから帰りはキハ30形のほうに乗ってみよう。


キハ30系外吊りドア
特徴的な外吊りドアは内側から見るとこんな感じ。意外と普通。


ドア開閉ボタン
今ではドア横に目立つように赤や緑に光る立派なやつがあるのをよく見かけるドア開閉ボタンも昔はこんな形だったんですね。


久留里線の風景(その2)
どうせお客さんなんて同業者が少し乗っている程度。というわけでキハ30のエンジンの真上の席で窓を全開にして走っていたらこれが実に素晴らしい。夕風の気持ち良さとすぐ足元で唸るエンジンのこの感じ、中3の鉄研旅行で花輪線のキハ58系の乗った時を思い出しますね。


日没
雲の間からとてつもなく真っ赤な夕日が沈んでゆく。


久留里線の夕景
近いがゆえになかなか来る機会が無く今回がようやく初乗車だった久留里線は、本当にどこまでもレトロでノスタルジックな路線でした。いやー古い車両がまだ残っている時に来て本当によかった。


そしてこれで旅はほぼ終わり、あとは木更津から君津始発の快速に乗ってそのまま東京…まで行ってもよかったんだけどせっかくだし敢えて千葉で夕飯。


黒とら
千葉駅の近くにある『らーめん 和とら』で『黒とら』なるラーメンを食す。透き通ってるけど比較的こってりとした背脂の風味としっかりと効いた魚介系だしのコンビネーションはなかなかのもの。シンプルだけど印象は悪くないラーメンでした。



ちなみに夕飯を食べたあとは素直に乗り継いで帰宅。総武線快速が特急から逃げ切るために船橋→市川間をほぼ常時120km/hでぶっ飛ばしてて実に爽快でした。
つい一昨日は再び真冬の世界を満喫したあとで今日は春真っ盛りの房総半島を旅してきたということで一気に季節が進んだような感覚になったもんですが、かなり無茶なスケジュールで旅した一昨日も比較的余裕を持って旅をした今日もどちらも実に充実した良い旅でした。

車番・乗車距離

調布〜新宿:京王線・各停/新宿…9687
新宿〜東京:中央本線・快速/東京…モハE233-608
東京〜千葉:総武本線・快速/千葉…モハE217-17
千葉〜御宿:外房線・普通/安房鴨川…クハ209-2102
御宿〜勝浦:外房線・普通/勝浦…モハ209-2160
勝浦〜安房鴨川:外房線・普通/勝浦…クハE257-502
安房鴨川〜木更津:内房線・普通/千葉…クハ209-2109
木更津〜上総亀山:久留里線・普通/上総亀山…キハ38-4
上総亀山〜木更津:久留里線・普通/木更津…キハ30-100
木更津〜千葉:内房線外房線・快速/久里浜モハE217-43
千葉〜東京:総武本線・快速/久里浜サハE217-23
東京〜新宿:中央本線・快速/青梅…サハE233-23
新宿〜調布:京王線準特急京王八王子…7155


●乗車距離(1日):410.9km

*1:実際には本当にトイレだったりするんだけど垂れ流し式のままで使えないため閉鎖中