九州旅行5日目

坂の街と猫@長崎市内

さて、宮崎からはるばる博多へ向かう夜行特急ドリームにちりん。目を覚ましたら小倉到着前。
ソニックなどの場合と同じく、博多に向かうには線路の都合上小倉で方向転換。まだ夜明け前の時間帯なので小倉から博多までこのままの状態で行くのかと思いきや、しっかりアナウンスがあって小倉で座席を転換。というわけで皆さん起きました。
こんな時間にそんなに利用客はいるのかなぁと思っていたら意外なほど途中駅から人が乗ってきて、夜行列車というよりは始発列車のような雰囲気になってきて気がつけば終点博多到着。こんなに近かったっけ。。


博多ではそれほど時間も無かったし、朝食は昨日鹿児島でついでに仕入れていたのでそのまま乗り換え。ここからは白いかもめに乗車です。
白いかもめといえば中1の初めての鉄研旅行で門司港から最初に乗車した特急列車。その当時は内装のあまりのぶっ飛び感にカルチャーショックを受けたものでしたが、まぁ思い出は美化されるのが常なのでありまして、日本中の鉄道を乗り回してから久々に乗ってみるとそんなに驚くようなことは…




885系白いかもめ車内
…と思ったけどやっぱりすげー!!
グリーン車でもないのに座席が全部本革張りで(まぁ817系の普通列車なのに革張りにはもっとビックリですが)、木目調の床、キャビン型の網棚、ドーム型の高い天井、間接照明とともに使われるダウンライト…とまぁともかくJR九州クオリティ全開のこの車両。さすがは世界のミトーカ。このレベルの高さに自分は敢えて『走る美容院』と命名させていただこう。だってそんな雰囲気やん。


まずは博多〜鳥栖の特急街道をひた走り、そこからは長崎本線へ。途中までは筑紫平野の平坦な地形、それも田んぼの真ん中を突っ走る感じなのでとにかく飛ばす。まぁ高速走行には普段の新快速に鍛えられているので特段驚きはしないんですが、特急列車とは思えないほどのその爆音っぷりにはちょっと驚きました。まぁこれはこれでいいんだけど。
で、ここでまずはid:gillhanter氏とともに朝食タイム。
押し寿司
鯖とあと何か忘れたけどあっさりと上品な魚(※追記:どうやらキビナゴという魚だそうで。)の押し寿し。うわー朝からなんと豪勢な。家から持って行ったカロリーメイトで食いつないでいた6年前とはえらい違いですねっ!
しかしこれもそれほど高くはない値段で当然味は最高でした。


佐賀を過ぎ、肥前山口を過ぎ…とだんだん長崎本線らしくなってくるわけですが、ここからがある意味白いかもめのターン。ターンというのは『俺のターン!』的な意味もありますがここでは文字通りターンしまくってます。単線区間でくねくね曲がる線路を目に見えるほどの角度をつけて振り子全開で全速前進する姿はまるでボブスレー。とはいっても車内からではボブスレーには見えないんですが。
で、気がつけばもう諫早、浦上と過ぎてあっという間に長崎。こんなに速いのに果たして新幹線なんて要るんでしょうかね。ぶっちゃけこれで十分のような気が…?


そして久々に訪れた長崎駅。中1当時はほとんどどこにも行かず帰りのあかつきの時間まで待っていただけだったんですが、今回はこの観光地を満喫したいと思います。
長崎電軌
とりあえずまずは市電。まぁ厳密に言うと市が運営してるわけではないので市電ではないんですが、これは観光客の強い味方です。
というわけでまずは出島まで乗車して、最初はここを観光することに。


出島にて
日本史でも習うように当然江戸時代には出島は文字通り海に向かって出っ張っていたわけですが、埋め立てが進んだ今となってはもはや地形的には出島では無くなってるんですよね。それでも当時の様子を再現するように作られているのでなかなか面白いといえば面白いです。


出島にて(その2)
その中のとある建物の中。これも当時の様子を再現したものらしいんですが、畳の上にカーペットを敷いて洋風にしてある、いわゆるヨーロッパとの建物とはまた全く違う『日本的な洋館』というたたずまいがなんともレトロです。


このあとも出島をしばらく観光した後は、再び路面電車に乗って今度は石橋まで。


さてこれは何でしょう。
グラバースカイロード


実はこれ、『グラバースカイロード』という日本初の斜行エレベーター。長崎というのはとにかく起伏の多い地形なので、グラバー園のほうへ向かう時にあの相当な標高差をクリアするために生み出されたなかなか面白い設備なのです。これで一気に電停からほとんど苦労することなくあっさりと坂の上に登れるわけですから、地元民にもさぞありがたかったことでしょう。


で、その上の入り口から少し進んだところで見つけた風景がこれ。
長崎の猫
本日の一番の写真。地形に沿って家が立ち並ぶ街並を見下ろす猫というこの構図がたまりません。なぜ猫ってこういう風景が不思議なほどよく似合うんでしょうか。


そして有名な観光地のひとつ、グラバー園へ。
グラバー園からの展望
丘の上から長崎の街並みや湾を一望できる素晴らしいロケーション。
この園内がまたいい雰囲気で、またこの旅行で初めていい天気に恵まれたということもあって実に気分がよろしいです。
ここには日本で初めてのアスファルトの舗装道路も展示されていたりしたんですが…それについては特に感動はナシ。


グラバー園にて
そしてこれがグラバー邸。目の前のハート形のチューリップの花壇がなんとも可愛らしいです。
ちなみにここではレトロな衣装を着てのコスプレ撮影会(というと激しく語弊がありそうな気がする…というか絶対なんか違う)もやってるようで、記念にそういうのも面白いかもしれません。
どうでもいいけどここを歩いていたらどうも何かデジャヴを感じるなぁ…と思ったんですが、よく考えたら神戸の北野異人館の雰囲気にもよく似てるかも。
神戸というと大都市の港町で中華街もあって…というイメージからか横浜と並び称されることが多いんですが、雰囲気的には横浜よりもむしろ長崎のほうが近い気がします。


そしてこのあとグラバー園を下って行った先の道で売っていたビードロが思わず気になってしまったので購入。ペコペコ。青いビードロだけど吹いても目が覚めたりはしません悪しからず。ペコペコ。


…で。
やっぱり長崎といえばこれでしょう。


四海楼ちゃんぽん
そう、ちゃんぽん。
この四海楼という店はちゃんぽんの元祖ということなんですが、まさしくザ・ちゃんぽんといった感じ。
個人的にはこのちゃんぽんという料理はラーメンと比べてもしつこくなく味もまろやかで麺はもちもち、しかも海鮮やら野菜やら具だくさんというなかなか理想的な麺料理だと思うんですが、これもコクがあるのにさっぱりしていて実に美味でございました。やっぱりいろんな食べ物の味を知るには『元祖』というものを食べるのも大切だよね。


さて、お腹もふくれたところだし行動再開。
ちなみに昼食を食べる前に班が分かれて自分とid:gillhanter氏の2人になったわけですが、市電で出島ワーフというところに行ってみてただの海沿いの飲食施設が立ち並んでるところだったり、その近くに何かの廃線跡かと思われるような遺構を発見したりといろいろあったんですが、せっかくなので有名な眼鏡橋にも行ってみることに。
眼鏡橋といえば橋桁の形が半円を描いているのが特徴なんですが、それがそんなに眼鏡なのかと今まではずっと疑問に思っていた自分。ですが、


眼鏡橋
…なるほど確かに眼鏡だ…。


というわけで眼鏡橋の名前にも納得したところで今度は再び路面電車に揺られて浦上方面へ行き、ようやく辿り着いた平和公園。やはり日本人なら一応ここには行くべきでしょう。
平和祈念像
どうも原爆といえば広島ばかりが語られがちですが、単に人口が少なかったおかげで被害が数字的に目立たなかったというだけでこの長崎には広島以上に強力なやつが落とされたわけで、それを考えるとなんとも言えない気分になります。
しかも長崎の場合は本来落とす予定ではなかったところに落とされてるわけで、実に不運だったとしか言いようがないのかもしれません。その日の天候次第では今の小倉がああいう状態になってたわけですし。
そしてその結果平和学習の一環としての修学旅行先の定番のひとつになって、長崎にもともとあった観光資源がさらに注目を浴びるきっかけになったというのはなんとも皮肉な話ですな。。


本当は資料館にも行ってみたかったんですが残念ながら帰りの電車の時刻が迫ってきたので今回はパスに。自分は以前広島の原爆資料館には行ったことがあるのでだいたい雰囲気は分かるしまぁいっか。
そして慌てて市電に乗って浦上駅まで行き、そこから飛び乗ったキハ66系。
長崎本線のこの先の部分というのはルートが二つに分かれていて、大村湾に沿って走る旧線と、特急が突っ走っていく新線があるわけですが、この旧線にはまだ乗ったことがないのでこの長与経由の旧線に乗車。ちなみにこっちは電化されていないので走っているのは全部気動車です。


長崎本線旧線の風景
大草駅付近の車窓。海沿いを走るだけあってこっちのほうが景色は断然よろしいです。


キハ66系@大草
そして反対側からやってきたキハ66系。117系の設計に大きな影響を与えた車両というだけあって車内の雰囲気は連窓に転クロといった感じでよく似ています。


この後もしばらく海沿いを進んだ後、新線と合流して諫早に到着。
id:cho-me3氏とid:tsulkou氏は大村線に乗るとのことなんですが、自分とid:gillhanter氏は他に行きたい場所があったのでここで下車して次のかもめに乗って帰ることに。まぁ大村線は一度乗ってるし今回はいいかな。。
駅前をしばらく散策したあとで再び白いかもめに乗って夕方の長崎本線を駆け抜け、終点博多に到着した頃にはもうすっかり夜になっていました。


で、その行きたかった場所はどこなのかという話なんですが。
とりあえず博多から地下鉄で中洲川端まで乗車。
中洲というのは歓楽街というわけで、まぁこんな時間に街中を歩いているとキャバクラやら何やら怪しげな店の勧誘がたくさんあるんですが、これだけあちこち旅行してこの間は夜の歌舞伎町で遊び倒してきたということもあっていつの間にか身に付いたスルースキルで適当にあしらいつつ目指すは川沿い。
そしてようやく見つけた理想の風景。


中洲の屋台
中洲の屋台。これぞこの福岡の独特の文化!って感じがしますな。


屋台ラーメン
こうして屋台で博多ラーメンを食べるのがある種の夢だったんですよね。さっぱりとしてて美味しかったです。


さらにもう一軒ハシゴして今度は天ぷら屋さんへ。
明太子の天ぷら
明太子の天ぷらなんて初めて見た。。大葉で巻いた天ぷらが衣の油とうまく調和してて、これは絶品。
そんなわけで大村線を蹴ってまで頑張って屋台に来たんですがその甲斐は十分にありました。福岡に来ることがあればまた行きたいですな。


そういうわけで地下鉄で博多の駅まで戻り、あとの2人と合流して送迎バスで本日の宿の東横インへ。今日は観光メインでしたがまだ体験したことの無かった九州の魅力が存分に味わえたいい1日でした。

車番・乗車距離

南宮崎〜博多:日豊本線鹿児島本線・特急ドリームにちりん/博多、モハ783-110
博多〜長崎:鹿児島本線長崎本線・特急かもめ3号/長崎、モハ885-103
長崎〜出島:長崎電軌・1系統/正覚寺下、503
出島〜築町:長崎電軌・1系統/正覚寺下、361
築町〜大浦天主堂下:長崎電軌・5系統/石橋、801
大浦海岸通り〜賑橋:長崎電軌・5系統/蛍茶屋、362
賑橋〜築町:長崎電軌・5系統/石橋、373
築町〜出島:長崎電軌・1系統/赤迫、1305
出島〜松山町:長崎電軌・1系統/赤迫、1505
浜口町〜浦上駅前:長崎電軌・1系統/正覚寺下、1304
浦上〜諫早長崎本線(旧線経由)・普通/早岐、キハ66-3
諫早〜博多:長崎本線鹿児島本線・特急かもめ38号、クモハ885-4
博多〜中洲川端:福岡市交空港線・普通/姪浜、1012
中洲川端〜博多:福岡市交空港線・普通/福岡空港、1521


●乗車距離(ドリームにちりん含む/長崎電軌除く):727.6km