九州旅行2日目
旅行2日目。東横インの朝食がどうやらレベルアップしたようで、前はささやかなおにぎりと味噌汁、コーヒー程度が用意されていただけだったのにずいぶん種類が増えて『朝食』らしくなってます。いつも旅行に行った時に朝食をどうするか悩むことが多いのでこれはありがたい。
さて、今日はまず大分駅から九州横断特急に乗って阿蘇山へ向かいます。
この時期といえばそれほど天気が悪いイメージはないのに、運の悪いことに九州にいる間はほとんど晴れ間が出ない予報。その予報通り今日もあいにくの天気。
まずは豊肥本線を九州横断特急の185系が走っていきます。同じキハ185系でも、ゆふに使われている車両とは完全に分けてあるようで、ちゃんと九州横断特急の仕様になってます。
かの滝廉太郎の『荒城の月』のモデルになったお城のある地、豊後竹田に到着。駅のすぐ裏が切り立った崖になっていて、落門の滝という滝もあります。写真には写ってませんが。
ちなみに豊後竹田にはこの後春休みにようだ氏(仮称)が、ルーツ探しか何か知りませんが在来線を乗り継いでここまで放浪の旅で訪れたようで。お疲れさまです。
ところでこの駅のベンチがかぼすを半分に切った形なんですね。座りにくそうだったけど面白いです。
さて、ここを過ぎるといよいよローカルな区間に入ってきます。
豊肥本線というのは阿蘇山のカルデラのど真ん中を突っ切っていくというなかなか挑戦的なルートを通ってるわけですが、まずはその前にカルデラに至るまではひたすら上り坂。阿蘇山の火砕流台地をくねくねと登っていきます。中1の鉄研旅行でこの特急の前身となる特急あそに乗った時には、この単線のローカル線を走り屋もビックリの怒濤の回復運転で5分延→1分早着という荒技を成し遂げたという痛烈な印象があるわけですが、今日は別に遅れてもいないので意外とのんびり走る。やっぱりあの時は特別だったのか。。
このあたりにもなるとだんだんと標高はかなり高くなってきて、阿蘇の外輪山をトンネルで突き抜けるといよいよそこは巨大なカルデラの中。
まず宮地の駅に到着。ここからは昔2回ほどSLあそBOYに乗った思い出があるんですが、残念ながらそれも過去のものに。宮地を出ると数分で第一の経由地・阿蘇駅に到着。
ここで途中下車してコインロッカーに荷物を預ける。この時id:gillhanter氏の財布が間違えてコインロッカーに入れてしまったのかどうか分かりませんが見当たらない。しかしいちいち引き出したりするとまたややこしいのでとりあえずまずは阿蘇山に行くことに。
ここから阿蘇山の上まで行く方法は、九州産交バスの路線バスに乗ってまずはロープウェイ乗り場まで行ってからそこでロープウェイに乗り換えて山頂を目指すというルート。というわけでまずはバスに乗り込みます。
まずは林の中を走り、しばらくすると一転あたり一面何も無い草千里のエリアに。
どうやら山焼きをした後らしく黒っぽい焼け跡が広がっていて、まだこの季節だとこれといった見どころもないんですがこれが夏になると青々とした草原が広がり、そこに馬も放牧されて実に素晴らしい風景になるんだとか。要はウィンドウズの壁紙みたいなあんな感じですか。
ヘアピンカーブを描きながら進む道をひたすら登っていくと、途中から一気に霧の中に突入。幻想的といえば聞こえはいいですが真っ白で何も見えません。むしろよくまともにバスが走ってると思うほど。
でももう少し登れば晴れてるよね…!?という微かな希望を持って進んでみたものの…
どう見ても雲の中です本当にありg(ry
どうやらこの雲は山頂までずっと続いているらしく、ロープウェイももちろん運休中。いやまぁ正しくは朝は動いていたみたいなんですが、韓国人旅行客が金返せとクレームをつけてきたので返金こそ出来なかったものの代わりに濃霧運休になったとかいうのはお土産物屋さんのおばちゃんの話。聞くところによるとあのウォン安の影響で日本円では1000円ほどのロープウェイの料金が向こうの人にとっては軽く15000円ほどのお値段になってしまうようで。これだけ払って何も見えなかったら確かに文句の1つや2つぐらい言いたくなるのは無理もない。。
仕方なく帰りのバスの時間までロープウェイ乗り場の下の売店のところでホットミルクを飲んだり団子(?)を食べたりしつつ待ち、さっき乗ってきたバスに乗って再び山麓へ戻る。実はこれだけいろいろと旅行してきて各地で台風とかにひたすらぶち当たりまくってきたくせに、これほど天候がプランに大きく影響したのは今回が初めてです。
ちなみに山上は霧だったんですが、下に降りてきたらなんと晴れ間が出てるという壮絶な展開。まぁ山の天気は変わりやすいって言うしねぇ…。
でもまぁ、こうやって中腹からでも世界一のカルデラの雄大な風景を見られただけでも値打ちがあったってもんです。山頂は昔一度行ったこともあったし。
さて、そんなわけで阿蘇駅に戻ってきたものの、消えた財布を探さないといけないわけで。
駅で訊いても落とし物としては出てないらしいし、いくら探しても見つからない。これは本格的に困った…。。
で、まぁこんなとこに入ってるわけないしなぁ…と思いつつも鍵のかかっていないロッカーの扉を片っ端から開けてみたんですが、
…!?
うわwwあったwwww
灯台下暗しとはまさにこのことというか、荷物を預ける時に一度そこに置いたままになっていたようで…なにはともあれよかったよかった。
というわけでようやく落ち着いて昼食。これといった店もないので駅の中にあったお店。値段もそこそこで味もなかなか美味しかったので満足。
で、阿蘇といえば火山、ってことはやっぱり温泉があるわけで、しかもそれがなんと駅のすぐそば。これは行かない手はないだろうというわけでもちろん行ってきました。
多分市営の共同浴場だったんですが、阿蘇市民は割引があって、それでも外来客でもお値段はかなり安め。しかも内装もなかなか凝った作りで立派な温泉宿のお風呂と比べても見劣りしないレベル。
残念ながらあんまりゆったりと楽しんでいる時間はなかったものの、昨日に引き続き今日も素晴らしいお風呂でした。なんかだんだんと湯治旅行になりかけてる気がするけどまぁいいでしょう。。
そして急いで駅まで戻って(とはいっても徒歩1〜2分だけど)、待っていたら程なくして熊本行きの真っ赤なキハ200系が到着。こうしてのんびりと普通列車で旅するのもよろしいもんです。
さて、まずはこの大きく平坦なカルデラの中をまっすぐ伸びる線路をひたすら飛ばします。この広々とした風景はここが標高500mほどののちょっとした高所であることを忘れさせてしまうほど。この阿蘇市の市街というのは確かにこの山の中にぽっかりと開いた穴の中にあるわけです。不思議。
この奥にそびえ立つ山々が外輪山。
しかしこんなのどかな風景も長くは続かない。赤水をすぎると風景は一転して大きな谷の縁を走っているような格好に。
この写真では一見なだらかな斜面のように見えますが…
見下ろしてみると実際はなかなかの標高差。さっきの平坦さ加減とのギャップには驚くばかりですね。
そしてこの区間、あまりの標高差のためにまっすぐ列車が降りていけないということで、出ました名物スイッチバック。
上の写真に写っている、右にカーブしながら下っていく線路がそのスイッチバックの線路。
というわけでまずはまっすぐ進んでいって駅のないところで停止。そのまま運転士さんが最後尾まで歩いてきて、今度は下へ向かう線路のほうを走り始めるわけです。
今でこそ30パーミル越えの急坂もなんのそのという感じですが、これがSL全盛期の話になると当然そうはいかない。そんな中での知恵だったわけですね。
で、坂を下った先にあるのが立野駅。南阿蘇鉄道との連絡駅でもあります。
阿蘇山のカルデラってのは結局大昔に富士山よりも高かったとの噂のある阿蘇山が爆発して山ごと吹っ飛んだ結果生じたものなわけで、元々は山の中腹だったところがサラダボウルの縁みたいな感じになってるんですが、この立野付近だけはその縁がない部分。いわば聖域への入り口みたいな感じになってると。
もしこの部分が無かったとしたら、今頃阿蘇市の一帯はもしかすると世界一の大きなカルデラ湖になっていたのかもしれません。
立野駅では再び向きを変えてあとはなだらかな斜面を滑り降り平野部へ。2駅ほど行った先の肥後大津からは電化区間。ここからはもう郊外の通勤路線へと形を変えてゆきます。
電車ならだいたいオールロングの815系に当たるところですが、ありがたいことに熊本直通なのでキハ200系の転クロでゆったり。しかし気がつけばあっという間に終点・熊本に到着でした。
ちなみにこの到着したホームがちょっと面白いことになってて、0番線Aのりばと0番線Bのりばに分かれているという変な構造。それならまだ1/2番線とか3/4番線とかのほうが…ってそれはハリーポッターの世界だけか。
熊本からはせっかくなので三角線に乗ってみようかという話になったんですが、列車の時間までしばらく間があったのでホームで時間つぶしをしていると、その三角線で使うと思わしき列車が回送されてきました。
お馴染みのキハ40系と、軽量気動車のキハ31系の組み合わせ。
というわけで、やはり予想通り三角線の列車はこの2両編成。ちょうど通学客の帰宅時間帯に当たっていたからかかなり混雑しそうな雰囲気だったので、2両目のキハ31系に乗車。
宇土までは鹿児島本線を走るんですが、なんか途中でふと横を見ると突然SLが客車1両とディーゼル機関車を引っ張って走り去って行ったのでめちゃくちゃ驚いた。これってもしかしたら今度SL人吉号として復活する元あそBOYのあの機関車でしょうか…?
そして宇土からはいよいよ未踏だった三角線へ。
しばらくは平坦なところを国道と並走し、しばらくすると右手には島原湾が見えてきます。
この海岸、日本の渚百選に数えられる御輿来海岸という海岸らしいんですが、とにかく見渡す限り干潟、干潟、干潟。
これだけ昔の自然の海岸が失われてるとか叫ばれてる中で、ここまで大規模に干潟が残ってる海岸があるのかと思わず感心してしまいます。そして面白いことにその干潟の真ん中を道路が突っ切ってるんですよねこれ。なかなか素晴らしい風景でした。
途中でどこかで見たことのあるような『住吉駅』も通り、海岸から離れたかと思ったら急に山の中を走り宇土半島の南岸へと出て終点・三角に到着。さんかくじゃないよみすみだよ。
三角は天草への玄関口というだけあって、駅舎もなかなかいい雰囲気の建物。その前には展望台が新しく建てられたものの、潮風で朽ち果てて展望台として使えなくなってしまったため今となっては単なる邪魔な障害物でしかないという悲惨なことに。
さすがに最近この閉ざされた展望台は塗り直されたようで少しはまともに見えるようにはなりましたが、それでもなんかいろいろと残念なことになってる感が否めない気が…。
いろいろ書きましたがここでの折り返し時間はかなり短かったので急いで車内へ。
今度はもうガラガラになりそうだったので、ボックスシートのキハ40系のほうに乗車。一粒で二度美味しいってやつですね。
誰もいないのをいいことに窓を開けて夕方の海の風を感じたりしながら来た道を戻る。日も暮れてだんだんと暗くなってきました。
トワイライト・干潟。なかなかいい風景。
まぁそれほど長い路線ではない三角線、あっという間に宇土まで戻ってきてそこからはもうすぐ熊本。しかしこの鹿児島本線、ロングレールだし線形もいい複線の路線だからなのかもしれませんがとにかく飛ばす飛ばす。いくらエンジン換装済の8000番台とはいえ、非力なイメージのキハ40系が100km/h越えでフルノッチ爆走を繰り広げてるなんてなんかもう素晴らしいですいろいろと。
そして熊本に到着後はとりあえず改札外へ。階段のところにはやぶさのマークがやたらたくさん掲示されていたのが印象的でした。
ここで夕食にするわけですが、せっかくなら中1の時に何も知らずに宿の人に言われるがままに行って後から熊本一の有名店だったことを知ってビックリした『黒亭』に再訪しようということで、市街地から少し外れて寂しい雰囲気の熊本駅の前をしばらく歩いてようやく発見。
前に行った時はいかにも通好みのラーメン屋という雰囲気が漂うお世辞にも小綺麗とはいえないような感じだったんですが、どうやら店を新しくしたようでずいぶんと明るい印象の店舗になってました。
これが黒亭のラーメン。それほど脂の強くない豚骨スープなんですがこれがまた独特で、揚げニンニクの香ばしさとほろ苦さは他ではまず出会ったことのない味。中1の初めての鉄研旅行の初日の夜に食べた味を、それから6年近く経った卒業旅行で再び食べるというのはなんとも感慨深いものです。
お腹もいっぱいになったところで熊本駅へ戻り、空いた時間にみどりの窓口で帰りの日のひかりレールスターのコンパートメントを取ろうとしたものの思いのほか埋まっていて予定よりかなり遅い時間に。まぁこれはこれで長く楽しめるからいいかな。。
今日は新八代泊になっていたんですが、駅前には何も無いとかいう噂を聞いたのでとりあえず飲み物とかだけ調達してからリレーつばめに乗車。
やはりJR九州の車両ってのはどれに乗ってもとにかく凝ってるという印象が強いんですが、この車両ももちろんそのひとつ。
とはいえわずか20分の乗車ではそんなにじっくり楽しんでる暇もなかったんですが、読書灯とかまでついてたりして流石はバブル期の車両。しかしとにかく速かった、というのが第一印象。
…で、新八代に着いたわけですが。
まぁリレーつばめを名乗ってるだけあってちゃんと新幹線のつばめに対面接続してるわけですよ。これはいいでしょう。
しかし、問題はそれではなくて。
( ゚д゚)ポカーン
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚ Д゚) …!?
駅から出ると、あたり一面に広がる田んぼの真ん中を伸びる一本の真新しい道。
しかしその街灯は点灯しておらず、天体観測ができそうなほど本気で真っ暗です。どういうことなの…
駅前にあるのは田んぼと東横イン。それだけ。一応新幹線の駅のはずなのにこんなことがあっていいものだろうか、いやない。…まぁこんなところに東横インだけある時点でそれもそれで相当シュールな光景ではあるんですが。
せっかくなのでホテルにチェックインした後で軽く探検してみたんですが、
暗闇の中にぽつんと幻想的に浮かび上がる近代的建造物の美しい姿。こ、これが我々の想像した未来都市なのか…!?
そんなわけで東横インなのになぜか『田舎に泊まろう!』な状態になったりと最後のオチがいろいろと酷かったんですが、旅行2日目もまぁいろいろあったものの充実した1日でした。