いみじうをかしげなる古都の秋

北野天満宮にて

今日はテストとか卒業式とかそういった類のものを除くと高校生活最後のイベントとなる遠足。
うちの学校では基本的に高2・高3で奈良と京都に1回ずつ行くことになっていて、去年は奈良だったので今年は京都。


とりあえず朝はずいぶんと早く起きて西北で台氏(仮称)と合流し、そこから今津南線で今津へ。なんかいきなり通特で5000系が来たり、今津南線で乗ったのがワンマン予備車の6026Fだったりしてラッキー。
そして阪神に乗り換え、一旦西宮まで戻ってから急行で福島へ。朝ラッシュの阪神電車は種別や停車駅がややこしいうえにダイヤもいろいろ入り組んでて初心者には分かりにくいことこの上ないです。おまけに普通しか停まらない駅は日中より本数少ないし。
そして福島からは5分ほど歩き、やってきました京阪中之島線。あの空間の中にぽつんと佇んでいる木の箱みたいな入り口がなんとも不思議な感じ。
早速中に入ってみたわけですが、まず噂通り階段の手すりが波打っていて面白い。どうやら降りる時には水平部分を持てば支えになり、上がる時には斜めの部分を持てば引っ張りやすいという構造なんだとか。その階段を降りた後はずいぶんと長い通路を歩いてようやく改札口。そしていよいよホームへ。


中之島駅にて
てか、何すかこの駅…!
地下駅というと、新しいところはとりあえず綺麗、古いところは薄暗いという違いはあるものの、どこもどうも無機質で素っ気ない雰囲気が漂っているものなんですが、この駅は壁は一面木でできてるし照明は暖色系の蛍光灯を使ってるしでずいぶんと温かみのある雰囲気。いやー相変わらず凝ってますな。
で、今回のお目当てはもちろんこの中之島線と新型3000系。実は昨日運用を調べてた時に、集合時間にちょうど都合の良さそうな30分後の快急が一般車運用ということを知って仕方なく30分前に来たわけで。
ずいぶんと早いうちに入線して、15分以上この駅に停まってるわけですが、まだ開業早々の時期なので駅は閑散としていて車内もガラガラ。
というわけで早速足を踏み入れてみる。


京阪3000系車内
うわ、これまた凄い。
白、黒、紺の3色を基調としたインテリアはなかなかのもので、シートは東レのエクセーヌなるスエード調の高価な生地を使っているそうですがこれまた凝ってます。車内のLEDの路線図もスクロールするし、当然のごとくヲタシートも完備。ちなみに従来は大阪側先頭車のヲタシートは優先座席だったんですが、最近位置を変更してわざわざ扉より中央側に移動させたあたりがなんとも鉄ちゃんに優しいというか。相変わらずいい仕事してますねこの会社。
京阪3001F@中之島
しかもよりによってトップナンバー降臨ときましたか。


というわけで、早速2人でヲタシートを占領していざ発車。
中之島線内はトンネルの中でもずいぶんとライトが多くて明るいんですが、構造を見てると絵に描いたようなシールド工法のトンネルといった雰囲気。
天満橋でそこそこのお客を乗せ、天満橋からはいっきに激混みになって複々線区間をぶっ飛ばします。110km/hで走っていても全くそのスピードを感じさせないほどの静かさは多分阪急9300系といい勝負。しかし有り余る性能を発揮できる区間が少ないのはちと残念?
シートの座り心地もなかなかのもので、さらに背もたれがずいぶんと高くて思いっきり頭ものせられるのも流石。
そしてかぶりつきの前面展望を楽しみながら1時間、三条に到着。もうこれだけでも来た価値はあります。
ただ、あまりに早く出てきたおかげで時間が余ってしまったので、三条のドトールに寄ってコーヒータイム。台氏(仮称)は朝バナナしか食べてきていないということでトーストとコーヒーをオーダーしてましたが、斜めに2つに切ってある4枚切りのトーストがなんともいい感じですな。今ではだんだん少なくなったコンチネンタルタイプのブレックファスト。
そこでしばらくゆっくりした後は、三条京阪からたまたまやってきた京津線直通の800系で蹴上へ行き、歩いて5分少々で集合場所の南禅寺に到着。途中インクラインの下のトンネルを通るんですが、遠足の案内には『トンネルをぐぐって』と書いてあったのには吹いた。


さて、うちの学校の恒例パターンという感じもするんですが、今日は10時に南禅寺集合で10時解散。つまり後は好きなようにしろってことで、行くの面倒とかで来ない人も中にはいたんですが、これは1日遊ぶ日をわざわざ与えてくれたのだろうと解釈してせっかくの機会だし京都観光することに。雨で降水確率70〜80%の予報だったけど文化祭初日同様見事に吹っ飛ばして晴れ間まで出てきたのにはさすがに驚きましたが。
というわけで、まずはせっかく来たので南禅寺。今年は去年に比べると紅葉は早いようで、もう少しずつ色づき始めていました。
南禅寺三門と紅葉
有名な南禅寺の三門と紅葉の組み合わせ。真っ赤に染まったもみじも綺麗だけど、少し色づき始めた頃のグラデーションもなんとも奥ゆかしく美しいというか、和の心を感じますね。


南禅寺にて
苔の絨毯も昨日の雨でしっとり濡れて色鮮やか。


で、今日は台氏(仮称)とdreamer氏(仮称)とホク氏(仮称)と自分の4人でグループを作って回ることに。
そのまま庭園をぐるっと回るのも良かったんですが、自分たちは水路閣のほうへ。
南禅寺水路閣(その1)
北から南へ流れる京都の川と反対に、こちらは南から北へと流れるように作られた琵琶湖疏水
お寺の中に作られた、洋風な雰囲気の漂う重厚な赤レンガのアーチは一見ミスマッチと見せかけて実は意外なほど風景に調和している気がします。


南禅寺水路閣(その2)
アーチの中にカメラを向けてみるとこんな感じ。構図次第ではかつてのヨーロッパ絵画みたいになりそうですね。それにしても今日はカメラが大活躍。


とりあえず嵯峨野トロッコを予約していたのでその時間に間に合うように行かないといけなかったんですが、蹴上方面にはここを上がって疏水に沿って歩いていっても行けるということなのでそこに上がってみる。


琵琶湖疏水にて
雨上がり、日光がうっすらと差し込む朝の森はどこか神秘的な雰囲気。この空気を吸っているだけで身体が清められるような気がします。


蹴上インクライン
そのまま進んでいくと水を貯めているところがあり、さらにその先には蹴上のインクライン
ここは東京に遷都して一時期活気を失っていた京都を復活させようとして疏水などが建設されたようですが、そのあたりのことをdreamer氏(仮称)がいろいろと教えてくれました。さすが地元民がいると心強いです。
そこでStand By Me的な気分に浸りつつも下っていって、その先にはインクラインの記念館みたいなのがあったので展示を少しだけ見学。なぜか社会科見学で来たと思わしき小学生の集団にも遭遇。
その後、時間になったので蹴上の駅まで行って地下鉄に乗車。


そして着いた終点は太秦天神川。ここも最近開業したばかりの真新しい駅。
太秦天神川駅にて
新しいだけあってずいぶんときれいな駅だったんですが、いかんせん京阪の中之島駅を見た後だとずいぶん味気なく感じてしまうのは仕方ないことでしょうね。


そして、地上に上がるとここの接続のために作られた嵐電の新駅『嵐電天神川』も。
嵐電天神川駅
典型的なLRTの駅みたいな雰囲気ですが、ここを発着するのは古き良き時代の雰囲気漂う地域の路面電車
ここから嵐電に乗って、軒先をかすめるような良い雰囲気を味わいつつも嵐山方面へ向かい、嵐電嵯峨で下車。そこからトロッコの駅まではすぐだったんですが、途中にあったお店で冷やしあめを買う。


そしていよいよトロッコ列車。観光シーズンになると当日券なんて1時間以上は並ばないとまず取れないという人気観光スポットは、開業当初は1〜2年ももてばいい方だろうと言われていたんだとか。日本におけるトロッコという新たな観光列車の道を切り開いた路線でもあるのがこの嵯峨野トロッコだったりします。
嵯峨野トロッコ
山陰本線を逆走してきたトロッコ列車がいよいよ入線。ホームがもうちょっと広かったらいいのにと思っても立地条件を考えると仕方ないかも。目の前を颯爽と通り過ぎていく列車が湘南色113系ではなく白く光る221系になってしまったというのにはなんとも時代を感じます。


そしてトロッコはガタンという衝撃とともにゆっくりと走り出します。
冷やしあめを飲み、おかきや芋けんぴを食べながら景色を眺める。ひんやりとした空気のトンネルを抜け、川下りの舟を見ながら少しずつ色づき始めた保津峡の風景の中を進み、途中からは多客シーズンに活躍する『大江山の鬼』も登場。
トロッコと鬼
実は自分は昔小さい頃に一度このトロッコに乗せてもらったことがあって、その時はずいぶんと盛大に登場した記憶があるんですが、今回はずいぶんとさりげない登場シーンでした。それにしても、前の席のロシア人観光客と適当に会話してたり家族連れに愛想振りまいてたりと、ずいぶんとサービス精神旺盛な気さくな鬼ですな。。


保津峡の山間の風景から一転、突然開けてきたかと思うとそこはもう終点・トロッコ亀岡。時間にしてわずか20分ほどでしたが、ずいぶんと内容の濃い楽しいトロッコでした。
トロッコ亀岡駅とはいっても亀岡駅のところにあるのではなく馬堀駅のすぐ近くなんですが、それにしても畑ばかりのだだっ広いところです。それだけに駅前に一本どーんとそびえ立つマンションがなんとも変というか…。
そして、馬堀駅のホームにはこんな案内が。


Romantic Train
嵯峨野観光鉄道』の案内はまぁいいとして、問題はその下の英語。『Romantic Train』…??なんとまぁ。。


馬堀駅からは嵯峨野山陰線の『新車』221系に乗って今来た道を今度は新線であっという間に戻り、嵯峨嵐山に到着。ちょうど昼時になってきたのでここでランチタイム。
今回入ったのは嵐山の嵐電の駅のすぐ傍にある『ぎゃあてい』という料理屋。お昼には1580円でおばんざいのバイキングが楽しめて、白菜のたいたんや筑前煮、切り干し大根などといった素朴なものから万願寺とうがらしの天ぷらなどの京野菜を使った京都ならではのものまで勢揃い。スーパーなんかでもこういうメニューはパックに入ったものがよく売られていますが、素材を生かした本物の味付けはやはり流石といったところ。こんなものがこれだけたくさん味わえるってのもなかなか無いことで、自分を含めて皆さんこういう系の和食が好きなグループということもあり大満足。バイキングとなるとついつい食べ過ぎになりがちとはいえ、どれもこれも野菜を使った薄味でヘルシーな料理だというのもまた実によろしいことです。50分の時間制限だったんですが、行った時間が少し遅くてもう食べ終わる頃には店内は閑散としてたので50分を過ぎても何も言われず結局1時間ほど居座ってた気がします。


さて、お腹も満たされた後はすぐ隣の嵐電の駅へ。新しくできたという足湯も気になったんですが時間的な都合もあって今回はパス。
とりあえず帷子ノ辻まで行って、そこから北野線へ乗り換えて北野白梅町へ。天気も良かったために揃って嵐山の店に傘を忘れてきたということに気づくものの放置。向かったのは言うまでもなく学問の神様、北野天満宮
まぁ北野の天神さんにはしょっちゅうお世話になってるしこの間も行ったような気がするんですが、今回もどうかひとつよろしくお願いしますってことで。
せっかく使っていたスルッとKANSAIの2dayチケットのクーポン券を使えば記念品進呈だったのに、帰り際にもらえばいいやと思っていて違う出口から出てしまったために貰い損ねてしまったのがちと残念。


で、この天神さんも所々で紅葉が始まっていて、ちょうど猫に餌をあげているおじさんがいたので、その猫を絡めて1枚。
紅葉と神社猫
これが本日のベストショット。なんとも趣のある写真に仕上がりました。
それにしても、神社と猫ってなぜこれほど相性が良いんでしょうかね。


この後、天神さんのすぐ近くにある店で粟餅を食べ、緑茶をすすりながらまったりと。おばんざいといいこれといい疏水といい、どう考えても世間の高校生の好む観光コースとは明らかにベクトルが違う気がしますが、これもまた『奥ゆかしい和の心の分かる大人の京都観光』といった感じで良かったし、なんだかんだで今日1日この上ないほどエンジョイした気がします。
そして、普段近くに住んでいるとそれほど何とも思わないんですが、こうして改めて行ってみると京都の素晴らしさを再認識できた気がします。特にこの秋の京都の趣深さはもうなんとも言えないほど格別というか、日本人なら一度は味わわないといけないものなんじゃないかな、と。
中1から遠足はずいぶんと不毛なものばかりでしたが、最後の2年間はずいぶんといろいろな楽しみ方が出来て充実していて、今年も最後に相応しい遠足だったと思います。2dayチケットのおかげでお得に回れたし。いやー良かった良かった。


京都の市バスに乗り、河原町通りで渋滞にかかって時間がかかるだろうからということで烏丸丸太町で降り、地下鉄に乗って流れ解散の後、阪急の9300系の静かな車内でひとときの睡眠をとり、西宮北口で物理の授業を受けたらいよいよこれからまた受験生ライフが戻ってきます。いよいよ明日からまた東大シリーズかぁ…。

車番・乗車距離

夙川〜西宮北口阪急神戸線通勤特急/梅田、5063
西宮北口〜今津:阪急今津線・普通/今津、6026
今津〜西宮:阪神本線・普通/高速神戸、5132
西宮〜福島:阪神本線・急行/梅田、8111
中之島〜三条:京阪中之島線京阪本線快速急行出町柳3001
三条京阪〜蹴上:京都市営地下鉄東西線・普通/浜大津、808
蹴上〜太秦天神川京都市営地下鉄東西線・普通/太秦天神川、5101
嵐電天神川嵐電嵯峨嵐電嵐山本線・普通/嵐山、622
トロッコ嵯峨トロッコ亀岡嵯峨野観光鉄道・嵯峨野5号/トロッコ亀岡、SK100-2
馬堀〜嵯峨嵐山山陰本線・普通/京都、サハ221-**
嵐山〜帷子ノ辻嵐電嵐山本線・普通/四条大宮、621
帷子ノ辻北野白梅町嵐電北野線・普通/北野白梅町、104
丸太町〜四条:京都市営地下鉄烏丸線・普通/竹田、1806
烏丸〜河原町阪急京都線・準急/河原町、2333
河原町〜十三:阪急京都線・特急/梅田、9300
十三〜西宮北口阪急神戸線・特急/新開地、8031
西宮北口〜夙川:阪急神戸線・通勤急行/三宮、6681


●乗車距離(1日):160.9km