ユメニッキ。

こんな企画を思いついた。ユメニッキ

人間、寝ている間に夢を見る。
しかし、だいたいの場合は起きた頃にはその内容は忘れている。
だが、時々その内容をしっかり覚えていたりもする。
ということで、その『たまたま覚えていた夢』を、覚えている限りなるべく詳しく綴っていこうというもの。

ということで、第一回目は、今日見た夢を。なぜかかなり詳しく覚えていたので。。

その時、自分は岡山県内の某駅にいた。そうか、今から帰るところだったんだ。
(注:実際は車だったので鉄道で帰ることはありません)
いつもの3両のカボチャが来る。山陽本線のくせに電車は一時間に一本、おまけにこのありさま。
見飽きた景色をぼうっと眺めながら座っている。

ずいぶんと時間が経って、姫路駅に到着。この時間帯は、相生乗り換えではないようだ。
そこから新快速に乗って神戸方面へ向かうのだが、
ここで友人A(一応プライベートのため実名ではなくこういった形にしておきます。
ちなみにこれより後『A』)に遭遇。
どうやら、この間『姫路のえきそばは美味しい』という話をしたので、
思わず食べたくなって来たらしい。道楽者。
ちょうど今から帰るところだというので、一緒に新快速電車に乗って大阪方面に向かう。
しかし、兵庫駅を少し過ぎたあたりで突然止まった。これはもしや…?
…やっぱり人身事故である。たしか新淀川駅と言っていたような気がする。
しばらくして、とりあえず神戸まで行くということでゆっくりと動きだす。
神戸でずっと止まっていてもどうしようもない。
仕方がないので高速神戸の駅へ行こうと、降りる。
そして少し歩いたところで、突然どこかから悲鳴が聞こえる。
どうやら、とある飲食店ビルの地下から聞こえてくるようだ。
A『俺ちょっと見に行ってくるわ。』
自分『あ、ちょっと…!』
自分も少し遅れて後を追いかける。階段を駆け降りる。下で人が倒れている。
Aはどこにもいない。何故だ…?
…考える間もなく気が遠くなる。

気がつくと、山間のさびれた町の、片側一車線の道のそばにいた。
どこからか声が聞こえる。
『お前の友人はこの町のどこかにいるが、果たして助け出せるかな?』
ここで、『助け出す』という言葉が妙に引っかかった。いったいなぜ?
とりあえず、こうしていても仕方がない。道路に沿って歩いてみる。
しばらく歩いていると、森の入り口付近に自転車が捨てられていた。
こんなのを捨てる人は環境のことなんて考えてないのかなぁ…なんてことを考えつつも、
探すにはやはり足になるものが必要だと思い、その自転車を起こしてみる。
鍵はかかっていないし、少々錆びているもののちゃんと走れる。
ちょっと大事なことなので、この自転車を使うことにした。

…それにしても寂れた町である。
道を走る車もないし、ところどころにある商店も全て閉まっている。
町全体に人の気配というものがないのだ。
川が流れているが、水はたまっているもののほとんど流れはない。やはり水不足の影響なのだろうか。
腹が減ってくるものだが、カバンの中に飲みかけの炭酸飲料が入っていたので飲む。これで少しはマシになっただろうか。
空は既に薄暮。ところどころにある街灯は電気がついていない。いったいなんなんだこの町は。
だが自転車とは便利なもので、走っていれば前を照らしてくれる。
少し道沿いに進んだところに公園があった。
滑り台と砂場、そしてベンチしかない、
おまけに雑草だらけという、これまた寂れた公園だ。
しかしこちらにとっては関係ない。今夜寝る場所が見つかったのだから。
野宿というのは初めてのものである。
しかし、しばらく家を留守にしている間にメールはいっぱい来ているだろうし、
大変だなぁ…とどうでもいいことを考えていた。だがすぐに本来の目的(?)を思い出した。
虫がいるとちと困るのだが、どうやら蚊はほとんどいないようだ。ラッキー。
真っ暗になる。空には星が瞬く。
ため息の出るような美しい夜空だが、そんなことを思っている余裕はない。

気がついたら朝になっていた。どうやらいつの間にか寝ていたらしい。
腕時計を見ると9時30分。もうこんな時間なのか。
急いで自転車にとび乗り、Aを探しに走り回る。
少し道沿いを走っていると、町から外れて、山間に畑らしきものが広がっていた。
しかし見渡す限り人はいない。Aは本当にいるのだろうか。
そして、今頃になってひとつ重大なことに気がついた。
…どうやって帰るんだ?ここがどこかも分からないのに。
しかも困ったことに、携帯電話という便利なものがあることを思い出したが、電池が切れていた。最悪。
とりあえず、まずは人を探さなければ…と思ったが、本当に人がいない。気味が悪い。
しかし、それは思い過ごしだったのか、その直後に人の声が聞こえた。マイク越しの声だったが。
その声を、耳をすまして聞いてみる。
『え〜、まずは、○○ダムの完成を祝しまして、○○知事より…』

…この瞬間すべて、…いやすべてではないかもしれない…悟った。
この一帯はダムの底に沈むのだ。
車のいない道路、人気のない町、そして最初に引っかかった『助ける』という言葉…。
そういうことだったのだ。
そうと分かれば、こうしちゃいられない。なんとかして脱出するのだ。
『では、これより、テープカットを行います!』

その後どうなったかは覚えていない。
しかし、気がつくといつもの、自分の家にいた。
…やはりあれは夢だったのか。…そうだよなぁ。
人間が一瞬にして移動するわけないし。
だが、そう思ったのも束の間、ある事実に気がついた。

自分は今、玉造温泉のホテルで寝ているはずなのだ。

その事実に気がついた瞬間、この物語、この夢は終わった。

まだ3時半。夜中だった。

第一回目のユメニッキはこんな感じ。
自分でも、ここまで鮮明に覚えている夢というのも少ないが、これだけ覚えているのも、
夢を見てすぐに目覚めたからなのだろう。
しかも、夢にしてはあまりにもよくできた筋書きだったので、こうやって文章として残してみようと思ったわけでした。